短編
□虹
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雨上がりの校舎はどこか違って見えて。
隣にいる人が君ならもっと輝いて見えた。
「綺麗よね〜虹って」
僕と同じ虹を見ながら君は言った。
確かに、茜色の空にかかる虹はとても綺麗だ。
でも僕には、七色に輝く虹よりも、その虹を眺める君の方がずっと美しく見えた。
「…そうですねぇ……」
それは本当のこと。
『惚れた弱み』と言われるかもしれないが、それでもいい。
だって、本当に彼女は美しくて愛しいのだから。
でもそんなことを彼女に言うと『また冗談ばっかり』といって何故かいじけてしまうので口にしまっておいた。
いじけてたり怒ったりした彼女もまた、どうしようもなく可愛いのだが、やはり僕は彼女には笑っていてほしい。