ヒナの使い魔
□第三章
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「…ごめんね、ありがとう」
ハヤテの胸で泣いていたヒナギクは、顔をハヤテの方へ向けて言った。
どれほどの涙を流したのだろう。
琥珀の瞳は、赤く、目は腫れていた。
「いえ…。こんな僕の胸でよければ」
「ううん。…ハヤテ君の胸だから泣けたんだと思う…」
細々と呟かれた言葉に、ハヤテの頬が緩む。
「…ありがとうございます。ではヒナギクさん、片付けをして…、帰りましょうか」
「……うん、そうね」
優しく微笑むと、ヒナギクも笑った。
使い魔として、主の事は知るべきなのだが――。
きっとヒナギクならいつか話してくれる。
そんな気がした。
「目、真っ赤ですよ?」
「うー。見るなぁ!」
――大丈夫。彼女は強い。
――第三章【ハヤテvsギーシュ前編】