あやさきけ2

□カードゲーム
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カードゲーム


「パパ〜、遊技王しよ〜」

 何事もなく、いつも通りの休日。綾崎ハヤテがリビングで雑誌に目を通していると、そんな声が隣から聞こえてきた。
 目を向けるとそこには我が娘、アイカの姿が。
 小さな手には紙の束を二つほど持っている。

「遊技王って……カードゲームだっけか?」
「そうそう。最近私のクラスで流行っているんだ〜」

 遊技王とは、世界中の人々にプレイされている大人気カードゲームである。
 子供から大人まで幅広く愛されており、カードによっては一枚に何万円もの価値がつくという。

「カードゲームかあ……そういえばしばらくやっていなかったなあ」
「じゃあせっかくだしやろうよ! 私教えるよ?」
「そうかい? じゃあお言葉に甘えようかな」

 アイカの言葉に二つ返事でOKする。
 ハヤテも暇を持て余していたので雑誌を読んでいたところだった。
 もっとも、仕事はあるといえばあるのだが、休日まで仕事をするとヒナギクがうるさい。
 主人の身体を気遣ってくれる素晴らしい嫁さんである。

「取り敢えず……パパはストラクチャーデッキでいいかな?」
「ああうん、構わないよ」
「じゃあ、はい」

 ポン、とハヤテの手に片方のデッキが渡される。
 ストラクチャーデッキとは、たしか買ってすぐにデュエルが出来るデッキの事だったと思う。

「私は自分のデッキ使うね〜」

 アイカは残った一つをそのままシャッフルし始めた。
 そうだった。確か戦う前はデッキをシャッフルしなければならなかったのだった。

「でも懐かしいな〜遊技王」
「パパやったことあるの?」
「あるよ。といっても、随分と昔の話だけどね」

 本当に小さい頃、当時の友人のデッキを借りて何度かプレイさせてもらったことがある。

「あの時は遊技王カードって、裏が紫色だったんだよ」
「そうなの!?」
「うん。でも、まさか久しぶりの遊技王を娘とやることになるとはねえ」
「あは。じゃあ、楽しもうよ!」
「うん、お手柔らかにお願いします」

 互いに笑いながら、デッキに手を置く。

「「デュエル」」

 こうして、娘と父の戦いが始まった。

「あ、エクシーズ召喚しまーす」
「なにそれ!?」

 なお、手加減以前に、複雑化されたカードゲームのルールの前にハヤテは撃沈した。
 まさかカードゲ−ムで時間の流れを痛感させられるとは思わなかった。


End



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