短編 2nd
□寝顔と桜
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四月に入り、ちらほらと桜の開花が報道されるようになった頃。
僕こと綾崎 ハヤテは、もはや日常の一部となったヒナギクさんの手伝いのため生徒会室にてペンを握っていた。
「………」
黙々とペンを走らせて、仕事を終わらせていく。
普段ならこの場はもう一つのペンの音が響くはずなのだが、今は一つ。
まぁ僕なのは言うまでもないのだけれど、本来のもう一つ――こちらも言うまでもないのだがヒナギクさんだ――の方は、今現在はペンの音ではなく――
「――すぅ…」
気持ち良い寝息の音を起てておられた。
きっと日頃の疲れが出たんだろう。
僕が来たときには既にこの状態で、僕は起こさないよう慎重に今日のノルマをしていたわけである。
…お前一人だけ仕事してるなんて不公平なんじゃないかって?
この天使のような女神のような、この世の全ての悪をもが破顔してしまうような寝顔を壊せるものか。
壊せる奴がいたら後で僕の所に来なさい。
ボコボコにしてやるから。
ついでに、僕はそいつを人類とは認めない。