短編

□シャボン玉
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「ハヤテ君って、シャボン玉みたいだよね」


 ある帰り道のこと、僕たちの前にふわふわと流れて来たそれを見て、ヒナギクさんが言った。

「え?」

 なんで?、というようにヒナギクさんに視線を送ると、彼女は少し寂しそうに、


「だって…ふわふわしながら、このシャボン玉みたいにどこかに行ってしまいそうじゃない…」
「ヒナギクさん…」


 そこで僕は始めて気付いた。ヒナギクさんの肩が微かに震えていることに…





 そしてその原因が、なんであるかということに。

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