短編
□ペッタンコ騒動
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のどかな春の風が吹き、暖かな陽気が差し込む此処、三千院家。
広大な庭では小鳥達が囀り、冬眠から覚めた生物達が待ち侘びた春を存分に堪能している。
その光景を言葉にするなら、まさに平和。平穏。
そう。平和なのだ。
「「「…………」」」
そんな誰もが穏やかになれるほのぼのとした空気の中にある、この四つの影を除けばの話だが。
…
動画研究部の面子が三千院家を訪れたのは、そんなのどかな日の午前の事だった。
「…で? 何か用か?」
突然の三人の訪問に、こめかみを押さえつつナギは尋ねる。
この三人が来るとロクなことが起きない、表情がそう語っていた。
「用が無ければ来てはいけないのかな?」
「せっかくクラスメイトが遊びに来たんだ。もてなせ」
「なんでお前らを持て成さなきゃならんのだ!」
図々しさは本日も絶好調のようだった。
「春の陽気に誘われてさっさと出て行ってくれないかなぁ」と内心ナギは思う。
「いやいや、口に出てるからナギちゃん」
「流石の我々もちょっぴり傷つくぞ?」
「おおそれはすまなかった」