あやさきけ
□冬が始まるよ
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冬が来た。
身の凍るような寒さが身体に突き付け、綾崎アイカは思わず両手で身体を抱きしめる。
「う〜…寒い」
アイカが冬を経験するのは六度目であるが、冬というのはやはりアイカは好きになれなかった。
「雪合戦とか、雪だるまを作るのは大好きなのにな〜」
呟いたところでどうなるものではないが、呟きたくもなる。
基本的、アイカは家でぬくぬくするよりも、外で思いきり遊びたいタイプなのだ。
冬の寒さに友人が風邪で寝込んだりするこの季節は、ある意味アイカにとっては天敵でもあった。
「冬のバカヤロー。
私の友達の健康を返せー」
天敵に苦言を吐く。
返事がない、当たり前だ。
「………」
無性に悲しくなって、仕方なくアイカはリビングへと歩くことにした。
外で遊ばない以上、玄関でいつまでもいじけるのは風邪に繋がるからだ。