短編 2nd
□子ども
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「ハヤテ…」
今の発言を言いたかったのか、ジロリと僕を睨むお嬢様。
というか僕に気付いてたんですね?
「………」
…まぁともかく、それに冷や汗をかきながらも僕は言う。
「ホントに、いきなり何言うんですか」
「そうよ」
それにヒナギクさんも便乗してお互い顔を朱くしながらお嬢様に言い寄った。
「いきなり子…、子作りなんて…」
「紅茶吹き出しちゃったじゃない!!」
「いくら気になるからってそういうのは聞かないものなんですよ?」
連打の如く二人に言われ、流石のお嬢様もたじろいだ。
「う………」
確かに、お嬢様が聞いてくるのもわかる。
お嬢様も14歳。飛び級をしているとはいえ、年齢的にみれば中学二年生。
『そういう事』に1番敏感なお年頃である。
「確かにお嬢様の年頃なら気になるのもわかりますけど…」
「ならなんでそんなに慌てるのだ?」
不機嫌を隠そうともせずに聞いてくるお嬢様に、僕たちは声を合わせて、言った。
「僕たちも年頃ですから」
「私たちも年頃だから」
自分達で言っておいて、顔がまた赤くなってしまう。
この時僕たちは『子供から赤ちゃんの出来方を聞かれて困っている親』の心境だった。
残念ながら『コウノトリが運んでくるタマゴから生まれる』と言って信じてくれるほど、お嬢様は子供じゃないし、そこまで純粋ではない。
そんな僕らを見てお嬢様は小さく呟いた。
「――やることやっといて何を今更…」
不機嫌にそう言い放つお嬢様を見て、やっぱり子供なんだなと思う。
――だけど。
「朝っぱらから何を見せ付けているんだか…」
「―――!」
「―――!」
娘(お嬢様)の一言一言に顔を朱くしている僕らは、実はお嬢様よりも子供なのかもしれない。