あやさきけ

□サンタさんへのリクエスト
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「どーいうことよ!!」


 12月25日の朝、綾崎家にアイカの怒声が響いた。


「どうしたの、アイカ!?」
 そのあまりの声量に、ヒナギクが驚いてアイカの部屋に入ってくる。

 ヒナギクを見たアイカは、言った。

「どーもこーも、サンタさんがプレゼントをくれなかったの!!」
「……え?」


 ヒナギク顔負けの形相のアイカにそう言われ、ヒナギクは戸惑った。


「あー…アイカ?
 それ、もしかしたらなんかの間違いじゃ…」
「そんな訳無いわ!!
 だって靴下の中に何も入ってないんだもん!!」


 ほら、とアイカはベッドに吊して置いた靴下をヒナギクに見せる。

「………ホントだ」


 見れば確かに靴下には何も入っていない。


「…何でかしら?」
「知らないわよ!!
 あーもぅ、本当に信じられないよ!!」


 軽いショックを受けるヒナギクに、相変わらず激怒なアイカ。


「あ…と、とにかく、ママが何か欲しい物買ってあげるから、落ち着いて?」


 だが直ぐに持ち直し、ヒナギクはアイカを宥めることにした。

 取り敢えず、この場を落ち着かせようと思ったのだ。


 ヒナギクの言葉にアイカは罵声を一旦止めて、ヒナギクを振り返る。


「……欲しい物、何でも?」
「うん。 ゲームでも人形でも、何でもいいわよ」


 だから落ち着いてという願いを込めて、ヒナギクはアイカを見た。


「…欲しい物…」



 口元に手をあてて何かブツブツつぶやいているアイカ。
 その仕種に、何故か一抹の不安を覚えるヒナギク。


 そして、アイカの選んだプレゼントは……












「パパちょーだいw」
「却下よ、バカ野郎」








 こうして、落ち着かせるつもりが、さらに火に油を注ぐ形になったのは言うまでもない。

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