あやさきけ
□冬が始まるよ
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「………はぁ…」
肩を落としながらリビングに入ると、アイカの目にある光景が飛び込んで来た。
「…………」
無言のまま、じぃっとそれを見つめる。
その目は、少しばかり恨めしそうである。
「………娘が一人寂しく玄関で黄昏れていたというのに、何をしてるのよあんた方…」
そう言ったアイカの視線の先にいたのは、当然ながら両親であるハヤテとヒナギク。
ソファに二人で座り、仲良く寄り添っている…というか抱き合っていた。
飛んでくるピンクのハートをぶん殴りながら、アイカはハヤヒナの元へのっしのっしと歩いていく。
そして……
「あ、そ、べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「わ!?」
「キャッ!?」
二人を力任せに引き剥がし、怒鳴った。
「こんな昼間っから何ハート飛ばしてんのよ!?
娘の事も構いなさい!!」
冬に対するストレスと、ハヤテとイチャつきたいという嫉妬から声量は十分。
その声量にハヤヒナは思わず耳を塞ぎ、
「……アイカこそ、昼間っからそんな怒鳴んないでよ」
「アイカ。 今のは効いたぞ」
「んなことどーでもいいのー!!
折角の冬休みなんだから遊べーー!!!」