短編 2nd

□幸朝
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「ハヤテ君」

 朝。
 綺麗な声に起こされて眼を開けば、そこには僕の愛しい人がいた。

「…ヒナギクさん」
「ふふ…。ぐっすり寝てたわよ」

 カーテンからもれる光に照らされる彼女の笑顔に、寝ぼけ眼の僕は眼を細める。

「……そうでしたか?」
「そうでしたよ」

 くすくすと笑う彼女。
 それを眺める僕。
 二人用ベットの上で僕たちはしばし見つめ合い、笑った。

 なんと穏やかで、平和なのだろうか。

「ねぇハヤテ君」
「はい?なんですか」

 平穏たる時間を噛み締めていると、ヒナギクさんがずい、と顔を突き出して来た。

「いつものー」

 そして、上目で僕を見上げ、どこか猫のような甘えた声を出す。

「…はいはい」

 それが本当に可愛くて。
 僕は桜色の唇に、ゆっくり唇を重ねるのだ。

「ん……」
「………」

 唇を離して僕たちは再び見つめ合い、


「おはよう、ハヤテ君」
「おはようございます、ヒナギクさん」


 そして、今日も大好きな人が傍にいてくれる幸せを感じれる。


「ね?もう一回」
「……はい。喜んで」


 そんなことを思いながら、僕たちはもう一度唇を重ねた。

 それは、この先ずっと過ごしていく、幸せな日々の一コマ。



end


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