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□revorution T
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ーク…

ルーク…

我が…ーーのーーーれよ…

ーー声にーーーえよ

ーー誰?
誰だ、俺を呼ぶのは…

応えよーーー


頭の中に金属音のようなものが響き一気に現実に引き戻される

「…またいつもの夢、か…」

ルークは眠っていた寝台から身を起こし目にかかっていた長い髪をかき上げた。

「本当、勘弁して欲しいな…」

着替えをし部屋にある大きな窓を開けて空気の入れ替えをする

「はあ、今日も晴れ…か」

部屋を出て庭に行こうと思い
その途中で数人の使用人とすれ違う

「おはようございます、ルーク様」

「良くお休みになられましたか?」

「今日も予言のご加護がありますように」

「本日も我ら一同ルーク様の御身をお守りいたしますぞ!」

全員に、律儀にへんじを返し庭に出るとちょうどそこには庭師のペールがいた

「よぉ、ペール」

声をかけるとルークの方を向き

「おお!これは、ルーク様」

ペールは、この屋敷の中の使用人の中で気に入っている人だった

「ペールは今日も土いじりか?
毎日よく飽きないな」

「いいえ、ワシの育てた花で公爵様やルーク様をお慰めできればこれ以上の幸せはありませんよ」

確かに、この屋敷の庭は見ていて飽きない。
季節により様々な花々が咲き乱れる様を見るのは割と気に入っている、

「俺は、この庭も屋敷も飽き飽きだな
早く自由になりてーや」

「ルーク」として見るのならば退屈で仕方がないものなのでそう答えると

「…お屋敷に軟禁状態ではそうもなりましょうなァ」

ペールは、花の世話をしながら応えていく

「まぁ、それもご成人までの辛抱でございますよ」

確かに、この屋敷に拘束されるのは公爵との契約により成人までだが何か裏があると思う。
恐らくは、予言に関する事だろう…

「剣術の稽古ぐらいしかやることねーし
おかげで、すっかり強くなっちまって今に師匠も追いこすぜきっと」

「かもしれませんな?」

「だろ⁉」

まあ、実際あの程度の極太眉……人など余裕で倒せる自信があるけれど…

「なあ、ペール
外の話聞かせてくれよ」

最近の事を聞きたくなりペールに尋ねるが

「ルーク様…私めは使用人の身ですから」

「えー?ペールはそればっかじゃんか!」

やっぱり、無理か…
けれど、思い直して

「ちぇっ!じゃあガイに聞くよ!」

本当は、ガイとあまり話をしたくないが仕方がない。
何故ならガイはたまに殺気のこもった目で見てくるから

ペールは、申し訳なさそうに頭を下げた
屋敷にはいると近くにいた使用人…名前は忘れてしまった
に話しかける

「なー、ガイ知らない?」

その使用人は、ルークに気づくと

「おや、ルーク様
ヴァン・グランツ謡将がおみえですよ」

「えっ‼ヴァン師匠が来てるのか⁉」

本当は、嬉しくないけれど表面上は嬉しそうに振る舞う
けれど、疑問が少し残る

「でも、今日は稽古の日じゃないだろう?」

「ええ、火急のご用事だとか…
のちほど、おぼっちゃまもお呼びするとの事ですので」

「…どうでもいいけど、いーかげんそのぼっちゃまってのやめろよ」

「いいえ、ご成人まではおぼっちゃまと呼ばせていただきますよ
それより、おぼっちゃま…」

疑問が解消された事に納得していると

「庭師にお言葉をかけるのはくれぐれもおやめください
あれは、おぼっちゃまとは身分が違いますゆえ」

その言葉に反感を覚えながらも身を翻しながら、

「…わかってるよ‼俺に命令すんなっつってんだろ!
部屋で呼ばれんの待ってればいーんだろうが」

少々乱暴にその場から離れ部屋に戻ると


ーールーク…

ーーえよ…

…我が…

…れよ…

声に

ルーク


頭の中にまたも金属音がなったと思ったら声と共に凄まじい痛みが襲ってくる
ルークは、立っていられずに眼を強く閉じてその場に倒れる

その時、

「ルーク、いるかー?」

窓からガイが入ってきた
ガイは入ってくるとすぐにルークに気づき駆け寄ってきた

「ルーク⁉」

ガイはルークの身体を抱き起こしながら話しかける

「どうした!大丈夫か⁉
いつものやつか⁉」

ようやく話せるようになり目を開きガイを見る

「ーーガイ
…ああ、治まってきた
…大丈夫….」

ルークは、ガイの手を借り立ち上がり寝台に腰掛けるとようやく一息ついた

「ーーお前のそれもここのところ頻繁だな
マルクト帝国に誘拐されて以来ーーもう七年になるのか」

「マルクトのやつらのせいでまるで俺おかしいヤツみたいだぜ」

本当は、違うけれども適当に話を合わせておく

「ほんとう、むかつくってーの」

ガイは、苦笑しながら

「まあ、気にしすぎない事だな
どうだ、剣舞でもやるか?」

ガイに提案されたが今はそんな気分ではなかったのでヴァンの話をする

「残念でした!
今日は、師匠が来てるから!」

「ヴァン様が?
今日は、剣術の日じゃないだろう?」

「なんか、急ぎの用があるんだってさー」

ガイと話していると、ドアがノックされた

「ルーク様
よろしいでしょうか?」

「おっと」

その声を聞いた途端ガイは窓から外に出る

「使用人は、見つかる前に失礼させてもらうよ
また後でな」

そう言って部屋から離れていく
間が空いた事を不思議に思ったのだろうメイドが再度声をかける

「ルーク様?」

「はいはい!入っていいぞ」

メイドが部屋のドアを開け少し身体を部屋に入れると

「旦那様がお呼びです
応接室へ」

「ん」

ルークの返事を聞くとメイドは部屋から出て行った
ルークも、それに続くように部屋を出て応接室へと向かった

部屋につき中にはいると
中には、公爵と公爵夫人-シュザンヌ-、ヴァンが揃っていた

「…父上、ただいま参りました」

正直父親の敵でもあるこの男を父と呼ぶのは嫌だけれど仕方ない

「うむ
座りなさい、ルーク」

ルークは席に着くと待っていられないとでもいうようにヴァンに話しかける

「師匠!今日は、俺に稽古つけてくれるんすか?」

ヴァンはこちらを見て微笑むと

「後でみてやろう
だが、その前に話がある」

ヴァンは、自分では完璧な演技をしているみたいだが瞳の奥ではこちらを嘲笑っているのがわかる。
だから、ルークはヴァンがあまり好きではなかった

公爵がこちらを見て話を進める

「ルーク
グランツ謡将は明日ダアトへ帰国されるそうだ」

「え⁉」

「ルーク、私がローレライ教の神託の盾騎士団に所属していることは知っているね」

「うん…神託の盾騎士団の首席総長なんだろ?」

「私の任務は神託の盾騎士団を率い導師イオンをお護りすることにある」

「……………」

なら、何故こんなにも公爵家に入り浸っているのかが謎なんだけどな…
そう思いながら続きを聞く

「だが今、イオン様が行方不明なのだよ
私はイオン様の捜索の任につかねばならぬ」


「そんな!師匠が帰国したら俺の稽古はどうなるんだよ!」

本当は稽古なんてしたくないけどヴァンを慕っているルークならこういうだろうと思い言葉を発する

「私が戻るまで部下をこさせよう
だから、そうむくれるなルーク」

「…分かったよ」

本当は、部下の人にもきて欲しくはなかったけれど…
ルークが、不貞腐れてると思ったヴァンはルークの頭に手を置いて機嫌を撮るように

「元気を出せ
しばらく手合わせできない分今日は、とことん付き合うぞ」

そう言うと先に庭に出ていると言って部屋から出て行った
ルークもヴァンに続いて退室しようとするとシュザンヌがルークに声をかけてきた

「ルーク
くれぐれもケガには気をつけてちょうだい
私は本当はお前に剣術の稽古などしてほしくないのですよ」

「…母上は余計な心配しすぎだって!」

彼女を母と呼ぶことに未だに抵抗があるがこれも後少しの辛抱だと思えば耐えられる

「行ってくる!」

そう言って勢いよく部屋から出た


自室に戻り木刀を手に持ち部屋から出ようとしたが考えなおし部屋に飾ってある剣を手にとった

(…何も起こらないとは思うけど念のために持って行こう)

ヴァンとの稽古の時はこうしてたまにだが実践用の剣を持っていくことにしていた
剣を腰にくくりつけ今度こそ部屋から出る


庭に出るとヴァンとガイ、ペールが密談しているのがみえた

(毎回思うけどなんでこんな堂々と話してんだろ?)

わざと大きな音を立ててヴァン達に近づく

「あれ?ガイ」

なにしてるんだ?と近づくとペールはそそくさと自らの仕事に戻って行った

「俺も剣の達人、ヴァン謡将にご教授願おうかと思ってね」

ふーん、と相槌を打つとガイはホッとしたように微笑む

「でも、だめだぞ!師匠は俺と手合わせするんだからな!」

ガイは分かったよと言って、

「俺は、その辺で見学してるから」

そう言って近くにあった噴水の段差に座った


こうしてようやくヴァンとの稽古が始まった時だった

(……!歌?
いや、違う⁉これは…譜歌か!)

耳に歌声が聞こえてきた
しかし、ルーク以外気づいた者は居らずヴァンも気づいていないようだった

(これは剣を持ってきといて正解だったかな…)

とりあえず、ヴァンと打ち合い適当なところで尻餅をつく

「うわっ!」

喉元に剣を突きつけられ

「ま…参りました」

「あー!やっぱり師匠にはかなわねーや」

そんな事をしているうちに歌声が段々とこちらに近づいてきているのが分かる
無意識にそちらを向くと

「ルーク?」

ヴァンに訝しげな声をかけられた

なんでもない、と言おうとした瞬間

ガイがくずおれた

「なんだ⁉身体が動かねー…
眠気が…」

「いったい、どうなって…」

近くで作業をしていたペールがよろめきながらも

「こ…これは譜歌じゃ
お屋敷に第七音素譜術師が入り込みおった‼」


侵入してきた侵入者が屋敷の屋上から飛び降りてきた

「ご名答」

そう言ってヴァンを見据えると

「ーーようやく見つけたわ
裏切り者ヴァンデスデルカ!」

そう言ってヴァンに切りかかった

「覚悟!」

ヴァンは、その侵入者と知り合いのようで

「やはりお前か
ティア」

ルークは、痛む頭を抑えながら侵入者に切りかかった

「なんなんだよおまえはァ‼」

ヴァンが静止するもそのまま侵入者と押し合いになる

(ずいぶんと若い女の子だな…)

侵入者-ティア-の顔をみてそう感想を抱いたその瞬間、

押し合いをしている互いの武器の接点から光が迸った

「な…なに⁉」

ティアは驚いたように声を上げる

(これは、超振動か…!)

マズイと思い武器を離そうとするが手が動かずにそのまま光は大きくなった


ーー聴け

ローレライの意思よ届け

ヴァンとガイが何かを言っているのが聞こえる


力を解放せよ‼

「うわあああああああ⁉」
「きゃああああ⁉」

お互いに悲鳴を上げその瞬間
意識が途切れた
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