頂き物

□変わった日常、変わらぬ幸せ
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「あ、銀さん!おはようございます!」

「はよー、新八。先生もお前らも早くね?」

「僕らは普通ですよ。…って言っても、神楽 ちゃんはここに来ても結局寝てますけどね」

顔を洗い終わった銀時に、朝食の準備をし ていた新八が声をかけた。

松陽が来てから、神楽は新八の家で寝泊ま りするようになった。

そして朝になると新八が寝ぼけ眼の神楽を 引きずるようにして万事屋にやって来るのだ 。

新八が来る頃には松陽が起きているので、 鍵とかについては問題なかった(勿論、新八 は鍵を持っています)。

「っつーか、神楽は寝るくらいなら家で寝て れば良くね?」

銀時が言う。

神楽はいつも新八と一緒に万事屋に来るが 、眠くなって二度寝をするのだ。

だから、そのまま家で寝てればいいと考え た銀時だったが……

「だって、新八が先に行ってたらムカつくア ル」

「お、神楽も起きたな。おはよう」

「おはようアル、銀ちゃん!」

「っていうか、ムカつくって所はスルーです か!?」

呑気に銀時と神楽が挨拶を交わしていると 、新八がツッコんできた。

「だって……それが普通の反応じゃね?」

「なんでだァァァァァァァァァァ!おかしい でしょ!どう考えても!」

「おやおや、あなた達は朝から賑やかですね 」

騒いでいると、そこに松陽が現れた。

「あ、吉田さん。大体準備は終わりましたよ 」

新八が言うと、松陽はありがとうございま す、と言った。

そしてまた騒ぎながらの朝食を終えたのだ った。

「今日は依頼が入ってましたよね?」

「はい、真選組から入ってましたよ」

松陽の問いに答えた新八。

「えー…税金泥棒のとこかよ」

「何の依頼アルか?」

対して全く関心のない銀時と神楽。

「アンタらはちゃんと依頼位把握しといてく ださい!」

「しょうがねェだろ。税金泥棒の依頼なんて 先生が受けなかったら受けてねぇっつーの」

「良いじゃないですか。真選組の皆さんと仲 が良いと聞きましたよ?」

「「「良くないです/アル」」」

何処から聞いてきたのだろうか、松陽は真 選組と万事屋は仲が良いと思っていたらしい 。実際は犬猿の仲だ。(……といっても、良 く絡んでいるのは事実だが)

「そうなんですか?でもまぁ、お客様は神様 とか言うじゃないですか」

「うー……まぁ良いけど。で、依頼の内容っ てなんだったっけ?」

「だから覚えといてくださいって。…えぇと 、屋根の修理ですね。壊れたらしいです」

「どーせ、それって沖田君だろ?」

「あのサドの為に行くアルか!?絶対に嫌ア ル!」

「嫌でも行くの!」

嫌だ嫌だと騒ぐ神楽を宥める新八。それを 銀時はいつもの事として見ているし、松陽も 楽しそうに見ていた。

「それじゃあ、片付けたらすぐにでも行きま しょうか」

「「「はーい」」」

松陽が言うと3人は頷き、食器を片づけ始め た。

松陽が来てからと言うもの、銀時も(相変 わらずグータラしてはいるものの)きちんと 動くようになったし、それに習うように神楽 もちゃんとするようになった。

そのおかげで、新八は仕事の量が減って松 陽様様である。

さて、場所は変わって真選組。

「おぉ、万事屋!朝から悪ィな!」

ゴリラが出迎えた。

「ゴリラじゃないからァァァァァっ!」

「うるさいネ。ゴリラにゴリラって言って何 が悪いアルか」

神楽が言うと、ごr…近藤は泣いていた。

「……おい、何なんだよ、この状況」

そこへ漸く来た土方は呆れた目で近藤と万 事屋4人を見ていた。

「「ゴリラが悪い(アル)」」

「……」

土方は銀時と神楽の主張を無視して新八と 松陽に目を向けた。

「…神楽ちゃんが近藤さんをからかったんで す。すみません、土方さん」

新八が苦笑して言うと、やはりいつもの事 だったので、土方は気にするな、と言った。

「銀時、神楽ちゃん。あまりやり過ぎてはい けませんよ」

「「はぁーい」」

「分かればいいです」

松陽が2人を説教(?)しているが、『あまり やり過ぎてはいけない』という事は、『やり 過ぎなければやっても良い』という事だ。因 みに、松陽は狙ってこう言った訳ではない。

土方と新八は松陽の天然気味な部分に顔を 引きつらせた。

「…あれは天然だよな?」

「はい。……無自覚みたいですけどね(-_-;)」

「……あの先生であの生徒か…………」

土方の頭の中には小太郎と晋助の顔が浮か び、そして目の前の銀時を見る。

2人が攘夷活動をやめ、真選組と普通に関わ るようになってから(2人は万事屋の仕事を時 々手伝っている)、小太郎は天然っぽい電波 馬鹿で、晋助は意外と銀時馬鹿であることが 分かった。

始めて3人がじゃれているのを見た時は、真 選組の隊士たち(局長から下っ端まで全員) はこれは夢だと思ったとか思わなかったとか 。

「さて、仕事にしましょうか」

松陽の言葉でハッと我に返って、万事屋は 仕事に取り掛かることにしたのだった。
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