捧げ物
□類は友を呼ぶ
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まだ早い時間なのに日は落ちていた
ほう、と息をすれば白くなる
町のネオンの光が目立ってきた道を銀時は一人歩いていた
年も明け、珍しく万事屋には銀時一人だった。いつもと変わらず万事屋でゴロゴロとジャンプを読んでいたお昼頃一本の電話があった
「どーもー万事屋でーす。依頼ですかぁ?」
『おー金時ー久しぶりじゃー』
「銀な、銀。つか、てめーかよ」
『なんじゃ、つれないのー』
「なんでもいいから早く用件話せ。きるぞ」
『年も明けたし、酒でも飲みにいかんか?』
「てめーのおごりか?」
『もちろんじゃ!!!』
「なら行く。何時だ?」
『5時に花咲堂ちゅう居酒屋でいいかのぅ?』
「ん、わかった。じゃーな」
そして今に至る
いつの間にかもう指定された居酒屋の前だった
ーーガラガラーー
「いらっしゃいませー!!あら、あなたかしら?」
優しい雰囲気の女将が笑顔でむかえた
「んー?何が?」
おー寒かった、と手をこする
店内の暖かさが身にしみた
よく見るとよく銀時が行くような安っぽい居酒屋と違って高級感あふれる作りの店だった
さすが金持ち。今日はとことんおごらせてやる。と心に決める
「先に到着されている坂本というお客様に、銀髪で天パの方がいらしたら奥のお座敷まで連れてきてほしいと伺っておりましたので」
「あー俺だな確実に。後で絶対ぶっ飛ばしてやる」
クスクスと穏やかに笑いながら後についてくるように促した
「それにしても今日は変わった方ばかりいらすのですね」
不意に女将がそんなことを言った
「え?何?来てるの俺だけじゃないの?」
「えぇ…つきましたこちらでございます。」
そう言ってついたのはほかの座敷よりも大きい部屋だった
「では、楽しんでいってくださいね。長髪の方と隻眼の方にもよろしくお伝えください」
ニコッと笑って仕事に戻る女将
それを見送りながら銀時はものすごく帰りたい気分になっていた
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