短編小説

□一日だけのsweetday
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私、高木 綾子(たかぎ あやこ)は恋する16歳の乙女。
恋のお相手は同じクラスの男子、小林 弘哉(こばやし ひろや)くん。
人と話すのが苦手な私に優しく、明るく声をかけてくれたのがきっかけで恋に落ちたのだ。
今、弘哉くんは私の隣の席。私は毎日学校に行くのが楽しみで仕方がないのです。

綾「あぁ、早く来ないかなぁ」

私は現在朝の誰もいないクラス内で弘哉くんの登校を待っている。

もうそろそろ…彼が来る時間。

弘「おはよー!」

元気な声で廊下にいる同級生達に挨拶をしている彼の声に反応して胸が大きく跳ね上がる。
落ち着け落ち着けと心の中で唱えながら弘哉くんが教室へ来るのを待つ綾子

ガラガラ!
大きな音を立てて教室の扉を開け、入ってきたのは弘哉くん。
弘哉くんは静かに私の隣の席へと向かい、歩いてくる。
そして席に着いた弘哉くんが...

弘「綾っち、おはよ!」

さわやかな笑顔を向け朝の挨拶をしてくる。
これが学校のある日の最初の楽しみ。
私の鼓動は早鐘を打っている。

綾「お、おはよ」

私は緊張して毎回暗い挨拶しかできない。
そのたびに自分に馬鹿と心の中で責め続けている。

弘「綾っちは相変わらずだね」

弘哉くんが肩をすくめ言い放つ。

弘「ま、そこが綾っちの個性なんだから、気にすることないよ!
って、俺が気にさせてんだよな...ごめん!」

弘哉くんは両手を顔の前で合わせて謝ってくる。

綾「だ、大丈夫だよ!」

弘「綾っち優しい!...優しい綾っちにお願いが...」

綾「?あ、いつもの?」

弘「うん。お願いできる?」

綾「いいよ!」

弘「ありがとう!」

弘哉くんが私にいつもしてくるお願いそれは、私の携帯で弘哉くんが自撮りをし、弘哉くんのPCに送ること。
おかげさまで、私の画像フォルダーには大好きな弘哉くんの写真でいっぱいなのです。

弘「ありがとな!
いつも携帯借りちゃってごめんな...」

綾「いえいえ!
大丈夫だよー!私のでよければいつでも使って!」

弘「さんきゅっ。あのさぁ...」

弘哉くんが少し声を小さくして話し始める。
現在教室には私たち以外まだ誰も来ていないから声を小さくする必要はないはずなのだが...。

綾「なぁに?」

弘「明日さ、空いてる?
明日、一緒にどっかいかない?いつものお礼もしたいしさ」

綾「ほんと!?
空いてる!行く行く!」

私は嬉しさのあまり、大声で返事をしてしまった。

綾(あっ...)

弘「ぷっ。そんなに大声出さなくても聞こえるよ!
空いてるのね?んじゃ、明日、13時に駅前待ち合わせしようか!」

綾「うん!」

この後のそわそわ授業などが一切集中できなかったのは言うまでもない。
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