Short story


□君と僕の記念日
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「赤司君、誕生日おめでとうございます。」

 よく鉄仮面だとかポーカーフェイスとか言われる僕は今度こそちゃんと笑えているだろうか。


「あー…黒子っちの笑顔を見られるのは別に良いんスけど…」
「ブハッww何か逆に怖えぇwww」
「無駄に引きつってるのだよ…」
「何てゆーかー…もう普段のまんまでよくね?」


 うぅ…っ。何とも言えぬ羞恥心に顔を俯けた。僕は今、赤司君の居ないこの空間で真っ赤な包装紙のこのプレゼントを渡す予行練習を行っている。
 勿論クリスマス用の包装紙ではありません。

 12月20日、今日は赤司征十郎の記念すべき13歳の誕生日なのだ。
 影の薄い冷たくなった僕を見つけ、新たな温かい居場所を作ってくれた赤司君は僕にとって神様そのものだった。赤司君には計り知れない程の恩があり、各の違いをありありと見せられて見えない壁が出来ていた。
 僕よりも後に入部し、赤司君と出会った筈の黄瀬君の方が赤司君にもっと近づいている。


「うーん…何でこう、ニコーっ!て顔にならないんんスかね?」
「…目の前に赤司君が居ると思うと緊張してしまって」


 君みたいに笑う何て出来る訳ないじゃないですか。赤司君は僕にとって神様、尊敬すべき相手で…何とも言い難い感情が浮かんでくる。
 この中に入って居る既製品のマフラー。本で編み物の仕方を知っていた黒子は1ヶ月前に毛糸を買い込んだ。だが、やはり手編みは重いだろうか。嫌がられたらどうしよう。等々結局は赤司に似合いそうなマフラーを買った。


「…やはり止めましょう」
「「はぁ?」」
「僕には荷が重いですし…こんな安物では赤司君嬉しくないですよ」


 しょぼんと頂垂れた黒子を見て慌てるメンバー達。僕がくれた物なら何でも喜ぶとか、気持ちだけは伝わるとか、そろそろ赤ちん帰って来るよ〜とか。
 え、?

 ガチャリと部室のドアが開いた時には其処今日の主役、赤司がいた。

「あ、赤司君…」

 諸に黒子のプレゼントが見える時に入って来た赤司。騒いでいたメンバーがバッと此方を向いた驚きと何か何時もと違う部室の様子にキョトンとしていた。
 ほら、と誰かに背中を押され黒子は赤司の目の前に躍り出る。
 後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえ、キッと覚悟を決めた。


「お、おめでとうございます…っ」


 しまった。誕生日、とも赤司君、とも入らなかった言葉。突き出したプレゼントを持った手が震える、顔から火がでそうだった。でも、
 ちゃんと笑えただろうか

「黒子君が俺の誕生日知ってると知らなかったよ。ありがとう」


 と言った赤司君はもう嬉しそうな笑顔で僕も…

 ぱーんっ!
え、と振り返るといつの間にか持っていたクラッカーがキラキラと光って降り注いでいた。


「赤司っちおたおめっ」
「赤司、おめでとう今日のラッキーアイテムは…」
「赤司!後で1on1しようぜっ」
「赤ちん、ケーキ沢山買ってきらからーおっきくなろーね」



 心配とは余所に部室でのパーティーは盛大に盛り上がっていた。
 虹村主将に今日のことは話しておき明日は今日の分合わせて練習2倍で話を付けて貰った。本当に良かったと思う。


「黒子、確か…誕生日は1月31だったよな?」
「はい、そうですけど…」
「じゃあ次は黒子だな」
「…!」


 今気付いた黒子、と呼ばれた事と次は僕という意味。自然と顔が綻ぶのは無理ないだろう。


「あ、黒子っち笑ってる」
「赤ちん嬉しそ〜」
「全く世話の焼ける二人なのだよ」
「あ、俺との1on1は!?…ま、いっか。」


 距離の縮んだ二人を見守るメンバー達。
 帰り際、冬空の中で赤司の首周りに空色のマフラーが巻かれていたのはまた別の話。





_________

赤司生誕祭の作品ですっ
それにしてもキセキ全員出すのは大変だな…
どうしても偏りが出ちゃう(-ω-;)

・黒子も赤司も実は両片思い
・黒子→これの変な気持ちは赤司君を尊敬してるから!(無自覚
・赤司→うーん…避けられてる?(´・ω・`)ショボン(無自覚
 だ と 俺 得 !

因みに今日の日付は21っ!
こそっと更新…


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