☆韓国ドラマ〜朝鮮時代劇の夢☆
□にわか雨
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ワコは買い物に出ていた。旦那様であるシム様に仕事のための上質の紙を頼まれていた。
さっきまで良い天気だったのに店を出ると…ポツポツと。
『やだ…雨』
ワコは、せっかくの紙を濡らさぬように身体で庇うように抱きしめて走った。
屋敷に着く頃にはワコはすっかり濡れていた。でも紙は無事だ!
「ワコ!大丈夫か?雨が降って来たので迎えに行かせたのだが…」
シム様のお気に入りのワコを気に入らない者もいる。おそらく迎えなど永遠に来なかったろう。
「すまなかったな…中に入れ」
そう言いながらシム様自らがワコの傘になるように…腕で頭から覆いながら屋敷内に入る。
「あーぁ、ずぶ濡れだな」
部屋でワコを暖めるように乾いた布で拭く。
『紙は無事ですよ』
「紙などより…ワコがずぶ濡れなのが心配だ」
『大丈夫です!そう特別扱いしないで下さい』
「…特別なんだ」
ワコをやんわり抱きしめてシム様は頭をこちんとくっつけた。
「使用人のように振る舞う時もあるが…使用人だとは思わない。
誰より大切で、特別なんだ」
『わかってますよ、身分にうるさいこの時代ですから、覚悟の上です』
「ワコ…」
背後からぎゅっと抱きしめられて甘く名前を呼ばれた。
『待って!!
せっかくの上質の紙がシワになっちゃう』
このまま押し倒されて皺になったら身を呈して守った意味ないじゃないか、と軽くシム様を睨む。
「紙より大事なのに…」
拗ねたように言うシム様をクスリと笑う。
紙をキチンと直してから二人は向き合った。
唇を重ね甘い一時を過ごす。
外は、もう雨も止んで…再びの快晴!