泥棒さんの短い夢

□朝
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アリスの朝は早い。
朝日で街が白く照らされる頃にはパッチリ目が覚める。

早く起きる理由などないが、今までの習慣で起きてしまう。

起きた以上動かずにいられない性分である。



とはいえ


ここ、ルパンのアジトはまだ寝静まっていて誰も起きてくる気配がない。


アリスは、そーっとキッチンに立った。


お腹がすいていた。


何か…作って食べよう。


冷蔵庫には酒のつまみになりそうなものばかり…

かろうじて卵を発見した!

「オムレツくらいならできそう!」

アリスは嬉しそうに独り言を言った。


「そいつぁよかった」

背後で低い声がして飛び上がりそうなくらい驚いた。


振り返らなくてもわかる…………アリスのすぐ後ろに次元がいた。


「いつからいたの?」

「ついさっきだ……」

きゅるるるるぅ。

しまった!
アリスのお腹の音が鳴ってしまった!!


聞こえたかな?

アリスは、そうっと次元を振り返った。


「つまり腹が減ったのか?お姫様」

次元が今にも笑いだしそうに言った。

「うぅ…」
アリスは恥ずかしくて俯く。

次元はアリスの頭をぽんと撫でると
「生きてりゃ当然だ」
と、笑った。


「俺も腹が減ったな」

「じゃあ、私が作るから一緒に食べましょ!」


アリスは、いそいそと料理を始めた。

次元は、そんなアリスを見つめて微笑んだ。



しばらくして

待っていた次元の前にホカホカのオムレツとスープが並ぶ。

「いただきます」
目の前には、美味しそうに食べるアリス。



ルパンのアジトには相応しくないような甘くのどかなひととき。




「……なんだか…新婚さんみたいじゃねぇか!」

二人の様子を覗いていたルパンが面白くなさそうに呟いた。








END
 

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