★おはなし★

□君の瞳は満月#1
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猫の姿で…四本足で歩くってなかなか面白い!

高い塀も軽々だし、自然の香りが鼻をくすぐる。

「猫の集会にでも行きたいわね」

リホは楽しそうに笑った。口からでた言葉は「ニヤー」だった。




「おや?
可愛い猫だな」
塀の下を歩いていた男とリホは目が合った。

その男は学校の先生だった。リホの苦手な数学の…月島先生。
数学も先生も苦手!

リホは慌てて逃げようとしたけど、猫になって間もないものだから足を滑らせて塀から落ちた。

落ちる瞬間、猫だから一応ニャンぱらりできるかしら?と不安になって空中でもがいた。


「危ない!!」

どしん


リホは身体が痛くないことにホッとした。

「いてて…」

痛がっているのは月島先生。


どうやら塀から落ちたリホを受け止めて助けてくれたらしいが…今度は先生がバランスを崩して転んだようだ。


「ニャ…(先生…)」

「猫のくせに運動神経鈍いな」

先生は笑うとリホを抱きしめたまま立ち上がり、そのままスタスタ歩きだした。



「ニャン!ニャン!(ちょっと!どこ行くのよ!)」

「お腹すいたろう?僕の家でミルクあげようね」


「ニャ〜ン ニャンニヤッ(いや〜 1時間で元に戻るのに、連れてかないで)」


「ふふっ そんなに嬉しい?」



「ニャ〜〜〜ン(なんでぇ〜!?)」


先生の腕の中でもがいたが…抵抗むなしく連れて行かれた。





「着いたよ〜ほら、ミルク」

リホはアパートの一室で解放され、目の前にミルクの入った皿が置かれた。


喉が渇いていたからペロペロ舐めた。

「ニャン(おいしい)」
「よかったね」



やっと先生とリホの会話が通じた。


先生は机に書類をひろげ仕事している。

リホは何だろうと机に上り書類を見た。




「ニャンニヤッ!(げげっ 今日のテストだ!)」

しかも…リホの答案………………40点!?



「猫ちゃん、悪戯しちゃダメだよ〜
テストの採点しなきゃだからね。
…高嶺リホ、40点かぁ。
ちゃんと勉強すればもっとできるのに…苦手意識が強すぎるんだよな〜」



先生はリホの答案見て残念そうに言った。



うぅ…確かに勉強不足かも。
リホはガックリうなだれた。



「猫ちゃん、おねむかな?」
先生はリホを抱き上げ窓際に立つ。



「月が綺麗だね…今夜はここで寝るかい?」

1時間で元に戻るというのに…そんなの無理!
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