★おはなし★

□君の瞳は満月#1
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「確かに変わった毛色…
でも猫だよね」

リホはヒョイと猫じゃらしを出した。

うにゃーん…

月の妖精を名乗る子猫はじゃらしに飛びつく。


その姿を冷ややかに見つめるリホ。







「こほん。
オレが月の妖精である証拠に、あんたを猫に変身させたろ」


「え?」

「1時間だけやで!
1時間したら戻る魔法や」


「なんでぇ?」




驚くリホを前に子猫は呪文のような言葉を言う。


「うにゃーご ごろごろ うにゃーにゃ…」




猫の鳴き声のような呪文が終わった時目の前に星が瞬いた気がした。












「どや?」

子猫の顔がすぐ近くで驚く。

「鏡見てみ」

リホは部屋の姿見を見た。











見たことない白黒猫がいた。
しかもお腹に黒のハートマーク!

可愛いけど…



その猫はリホだった。



「あんた、なかなかの別嬪さんやん!キュートやでぇ」


「わわ!ヨダレたらして近寄らないでよ!」

リホは子猫の求愛を猫パンチで遮る。


「いてて…気が強いのもオレの好みや!
さて自己紹介遅れたけど
月の妖精 ナル や!」


「あたしは 高嶺リホ。至って普通の高校生よ」


「リホか〜ええ名前やん
で、リホ。
せっかくやから満月の散歩でも行かへん?」



「ん〜やめとく。
でも、他の猫と喋ってみたいな。外出してこよ」



「メスの一人歩きは危険や…
オレでよければボディーガードなるで」

「いらない!」




「つれないなぁ…
んじゃ留守番しとくわ。なんか困ったら呼んで」

ナルは銀色の鈴を渡した。


「首に巻いたらええ…
飼い猫みたいやで。
魔法の鈴で鳴らしたらどんな遠くてもオレに聞こえるねん」


「わかった」



リホは鈴を受け取ると、窓から外に出た。



「ええな!1時間やで」

ナルの声を背中で聞き、リホは月明かりを歩いた。
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