小説(学園)
□微笑みの爆弾 act3
1ページ/12ページ
【微笑みの爆弾】
《act3》
唐突過ぎるあのキスから、3日が過ぎたというのに、俺はこの感情に折り合いが付けれず、結果として黄瀬を避けまくってる。
換気の為か、体育館の非常口を全開にしてるそこから、練習風景を見るのが日課だったが、今ではそれすらない。
にも関わらず…黄瀬の声がすると俺の足はピタリと止まり、それでも黄瀬の顔が見れないのだから、自分でも情けなくなる。
「アホやなぁ幸生は」
「それは大輝にでも言え」
「顔合わせる度に言うとるでぇ」
まさか幼なじみ兼親友から、アホ扱いされるとも思ってなかった俺は、黄瀬を避ける理由を言うんじゃなかったと後悔しても手遅れで…。
この場に居るもう1人は、話を聞いてるのか聞いてないかが解らないほどに無反応。
「せやけど、どないするん?。
ずーっと避けとるワケにもいかんやろ?」
翔子の言葉を受けて、グッと言葉に詰まってしまう。
「簡単だ」
そこで漸く言葉を発したのは、今の今まで無反応だった千尋。
「お前が告白すればいい」
どや顔で何を言い出すのかと思ったら、俺からの告白って…。
「好きだから動揺してるんじゃないのか?」
「普通に考えても、あんな真似されたら動揺ぐれぇすんだろうがっっ!!」
儚げな容姿で可愛らしく首を傾げる千尋だが、その内容が内容だから可愛いとは無縁だっ!!。
「ほんなら、もし岡村やったら?」
「股間を蹴る」
「死ぬんと違うか?」
「もしもじ…小堀だったら?」
「千尋。
今地味って口走ろうとしただろ。
小堀だったら蹴らねぇけど…怒る」
「岡村とは偉い違いだな」
「せやったら、なぁんで黄瀬くん時は逃げたん?」
「なんで…って…」
そういや、なんで俺逃げたんだ?。
「どないしたら解らんから逃げる…と違うか?」
いつになく真面目な顔でそう諭してくれる翔子に、俺は素直にコクリと頷いた。
「ちゃんと自分と向き合え」
「千尋…」
「後悔してからやと遅いんやで」
「翔子…」
優しく俺を諭す親友達を見て、俺は
黄瀬が好きだ
そう不意に思った。
翔子や千尋に向ける愛情でも、父さんやじいちゃん…充洋と慎也にも向ける愛情とも違うそれ。
「好きだって…今からでも間に合うか?」
俺の弱々しい言葉に、2人は笑って頷いてくれたんだ。
→今吉視点