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□不器用な恋愛事情
act 8
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【不器用な恋愛事情】
《act 8》


本格的な老舗旅館の和泉は、大阪の市街地から離れた場所にある為に、都会の煩わしさもなく…


「今吉、一泊幾らなんだよ此処?」
「うちかて知らへんよ」「あいつらんな金持ってんのかよっ!!。
あ、あのデルモは持ってるな。
いざとなれば、あのデルモを使って…」

フロントで受付をしてる彼女達の恋人に聞こえないように、三人はそうヒソヒソと話していたが


「学割使ってるみたいなので、そう高くないみたいですよ」


その会話に突然混じってきた透明少年こと、黒子テツヤによって、三人は驚きのあまり、声すら出ない。


「何時から居ったんや!?」
「笠松さんの今吉…辺りから混ざっていました」

最初からかよっっ!!


これが黄瀬であれば、聞いてんじゃねぇ!!と、肩パンぐらいはするが、他校の…しかも選手である黒子に、いくら笠松とてそんな真似が出来る訳もなく…。

「驚いて悪かったな黒子テツヤ」

自分より、僅かにとはいえ日本人男性の平均身長である黒子の頭を、笠松はそう言って、軽くポンポンと叩き…


「そういや犬は?」
「黄瀬くんですか?」
「黄瀬は人間だっ!!」

宮地の嬉々とした質問に、黄瀬を見る黒子を見て、笠松はそう怒鳴り…それを見て今吉が腹を抱えて笑ってる。

「デルモなんぞに用はねぇ。
誠凛にわんこ居るんだろ?。
一緒じゃねぇのか?」
「2号ですか?。
2号は、休日の時は……何処に居るんでしょう」

そういえば、自分が拾ってきて、そのまま体育館に居着いてしまったが、あの犬がバスケ部の休みに何をしていて、何処に帰っているのかは…拾ってきた黒子自身も解らなくて…。

「火神くん知りませんか?」
「何がだよ?」

突然話を振られたが、その内容を知らない火神は、憮然とした表情でそう聞き返したのだが


「2号が何処で飼われてるかです」


そう言われた瞬間…火神の顔から血の気が一気に引いていく。


「俺んちじゃねぇからっ!!。
ぜってぇ違うからなっ」

全力での否定に


「タイガ、まだ犬嫌いなんだね」
「お前の所為だろうがっ!!。
お前が、あの犬に俺を餌として差し出したからっ!!」
「そんな事もあったねぇ。
懐かしいや」
「俺の中じゃ懐かしくも何でもねぇんだよっ!!」

アハハと氷室は呑気で笑うが、それを見てる紫原は面白くなくて


「むかつく」


そう言ったのを黄瀬は聞いた。




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