小説(WC後)

□一斉の声 5
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【一斉の声 5】


「お願いします!!」
「来てください!!」


高校の後輩から呼び出された笠松と今吉は、此処が喫茶店であるにも関わらず、堂々と…それも見事に平伏する後輩(しかも主将となった)の2人を前に


もう二度とこの店に来れねぇな


等と考えていた。


「今吉さんじゃねぇと、青峰を止めらんねぇよ!!」

そう無駄に大きい声で、敬語さえも忘れて言うのは…桐皇バスケ部の主将若松。


「マネージャーとして、是非とも参加願います!!」

こちらは丁寧な言い方だが、思慮深い彼には珍しく…余裕がない海常バスケ部の主将中村。

そして、そんな2人と向かい合って座る今吉と笠松の目の前に置かれたのは、洛山全額負担の

GW期間の5月2〜4日までの…キセキの世代獲得高校参加の合同合宿の招待状。

「せやけどなぁ、マネージャーなら桃井が居るやん」
「マネージャー…入って来なかったのか?」

後輩がこうして自分達を頼ってくれるのは嬉しいが、過去の人たる自分達が出張って良いのかが解らず、今吉と笠松は…乗り気ではない。

「桃井…頑張ってくれてますけど、今回の合宿じゃ…アイツの本領発揮の為に」
「スカウティングに力入れさせたいんやな?」
「はい…」

桃井はスカウティングの能力を高く評価され、桐皇の6人目として名高い。
しかも、合同合宿ともなると…スカウティングに力を注いで欲しいと思うのは、若松だけではなく監督の原澤も同意見だ。


「海常は…マネージャー希望が黄瀬目当ての為に」
「マネージャーを取らなかったのか」
「はい」

海常も海常で、一軍のマネージャーが不在という異例の事態だ。

今までは…1年がマネージャーをしてくれていたが、今回の合宿は基本スタメンのみという悪条件。
二軍のマネージャーに頼んだが…


『そっちは良いわよ。
結果次第で大学からお呼びが掛かるんだから。
だけど、私はそうはいかないの!!。
大学受験の勉強はどうすんのよっ!!。
中村が私を娶ってくれるっての?』

と、そう本気で言われてしまい、中村は潔く引き下がった。


「まぁ、俺もそうだったけど…マネージャーって合宿だ何だってなると、勉強する時間がないからなぁ」
「そうなんです」

よほど、この事で頭を悩ませているのか…中村の目の下にはクマが見える。


合宿ともなると、マネージャーの仕事は通常業務に加えて、選手がより良い環境で練習する為に…その準備に大忙しとなる。

設備の有無に料理の手配。
特に一番重要視するのは…買い出しだ。

スポーツドリンク
料理の材料

笠松でさえ、はっきり言って中村や早川…黄瀬が手伝ってくれなかったら、真っ先にダウンしていたぐらいに…重労働。


マネージャー不在ともなると、それをメンバーでしなければならず、そうなると…効率が悪い。


「だから…」

お願いします!!!!


若松と中村の声が重なり、ついでに平伏するのも重なり…笠松と今吉は


解った


そう言うしかなかった。




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