小説(WC後)
□一斉の声 2
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「勝つのは俺だ」
しかし、黄瀬の言葉の後で自分達の後ろから…そう言ってくる男がいた。
彼の名前は青峰大輝。
桐皇のエースだ。
「最強は青峰や」
そんな彼をそう言って…鼓舞するのは、桐皇元マネージャーの今吉翔子。
「勝つんなら、練習は毎日出てよ!!。
今日だって、途中で帰っちゃうし…。
若松さん怒ってたんだからね!!」
そう怒る桃井に、青峰は興味ねぇとばかりに、やる気のない目を桃井に向けるばかりだ。
「そんな青峰くんに、誠凛が負ける筈ありません」
だが、黒子がそう言った瞬間…青峰の目に強い光が宿った。
「言うじゃねぇか…テツ」
「予選の決勝リーグでは負けましたけど…WCでは勝てましたから。
それに、バスケは1人でやるものじゃない」
黒子の最後のその一言は、青峰にとって…深い傷だ。
結局…WC初戦で青峰が負けたのは…自分自身の能力(つよさ)のみを信じる自分ではなく、仲間を強く信じた誠凛だったから…。
「確かに桐皇は、仲間意識が皆無なチームや。
せやけど、それは絶対的エースが居るから出来る真似や。
まぁ、そない意味やったら…誠凛も同じやけどな。
青峰対火神のエース対決。
ウチらは観客席で見させてもらうわ」
負ける事を微塵と考えていない今吉の言葉に、黒子は深く…そして大きく頷いた。
「忘れてませんかね。
東京には…もう一校あるって事を」
そんな桐皇と誠凛に混ざってきたのは、歴戦の王者《秀徳》の高尾だ。
「ハッ!!。
IH予選で、決勝リーグまで来られなかった奴がほざくなよ…緑間」
「シュートは3Pで決まるというのを教えてやるのだよ…青峰」
「3Pシューターなら、誠凛には日向先輩がいます」
「舐めとったらアカンよぉ黒子くん。
3Pシューターなら、桐皇にも居るんやからな。
桜井っちゅう…クイックリリースのスペシャリストが…。
アイツの負けん気の強さは…折り紙付きやで」
青峰と緑間
黒子と今吉
それぞれの会話に、秀徳と桐皇のマネージャーは、楽しげに笑い出した。
「桃井さん?」
「どうしたのだよ高尾?」
心配してくれる恋人には悪いが、桃井と高尾は一緒になって笑うだけ。
「こういう時…都外の俺達は話に混ざれないっスね」
「だが、IHもWCも…次に優勝するのは洛山だ」
笑う2人に肩を竦める黄瀬のその言葉に、赤司はそう言うと…
「わりぃが、海常のエースを甘く見るんじゃねぇよ赤司」
トレイに数人分のバーガーとポテト…ジュースを乗せた笠松が、そう言って不敵に笑った。
「卒業した俺としては、あまり口を出したくはないが、ふざけた真似したら…お前の厨二病をまとめた語録集を…自費出版する」
そんな笠松を横目に、黛はそう言って…赤司を絶句させた。
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