小説(WC後)
□一斉の声 2
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『あの…バスケ部マネージャーを希望していて…』
赤司が体育館に入るなり、そう言ってきた1人の女子新入生に、実渕はハラハラとして…葉山は目をキラキラ輝かせ…根武谷は興味がないのか…大きなあくびをしたぐらいだ。
『成績は?』
『…え?』
赤司が何を言い出しているのかさえ…その彼女は解らず…それでも、中学3年の時の成績を素直に言えば…
『あぁ。
君程度の成績がバスケ部に居られても、正直迷惑だ』
そう返された。
『可愛いコだったのにぃ』
『え?。
千尋の方が可愛いけど』
葉山の言葉通りに、彼女は可愛い。
しかし、赤司の可愛いはあくまでも恋人が基準であって…。
『まぁ、確かに征ちゃんが言うのも一理あるわ。
成績が悪くて補習授業とかになったら、目も当てられないもの』
成績の事を言われてしまうと、葉山は黙るしかない。
『あ、俺今から東京に行くね!!。
黛さんで思い出した!!。
センセーから、忘れ物を届けるように言われてたんだっけ』
これ以上此処に居たら、面倒な事になりそうだと考えた葉山は、そう自ら切り出して…。
『ならオレが行くよ。
今から出ても、明日には帰って来れるし』
何でもなく言う赤司だが
何で戻って来るのが明日になるの?
そう葉山は不思議に思い…口を開いた瞬間…実渕によって塞がれた上に、根武谷に頭を押さえ込まれた。
『アンタ馬鹿なの!?。
そんな事聞いたら…確実に私達まで巻き込まれるでしょうがっ!!』
『まぁ、オメーが馬鹿なのは知ってるが、俺達まで巻き込むんじゃねぇよっ!!』
黛が卒業式の日に…無事彼女とお付き合いする事となった赤司だが、今では…練習の合間合間に…惚気話をするのが日課となっていて…。
下手したら、練習後もそれを聞かされるハメとなる実渕達にとって、それは《厄介事》でしかない。
なにしろ、体が疲弊しているにも関わらず、赤司からは何時間も黛がいかに可愛いのかを…延々と聞かされていれば、面倒見が良い実渕でさえ…匙を投げたくなるというものだ。
『玲央…小太郎が死にかけてるから、止めてやってくれないか?』
そんな彼らの感情を知らず、葉山の心配をする赤司に、実渕は
『どうせ死ぬのなら、せめてIHが終わってからにしなさい!!』
そう葉山を叱りつけた。
「こっちに来たは良かったんだが、千尋はバイトがあるらしくてね。
管理人に頼んで、荷物を預かって貰っても良かったんだが、やっぱり顔が見たくて」
穏やかに微笑みながら言う赤司に、黒子は
「黛さんは何のバイトをしてるんですか?」
そう冷静に聞いてみた。
「本屋の店員だよ」
しかし、誰もが予想した通りのそれに…全員が
絶対ラノベ読んでる
そう思ったぐらいだ。
「敦のところはどうなのかな」
「紫原っちっスからねぇ。
誰が来ても興味ないと思うっスよ」
「だが、今は氷室さんが居るのだよ」
「新入部員に…圧力掛けてそうですね。
……物理的に……」
赤司
黄瀬
緑間
黒子
それぞれの言葉に、桃井と高尾は
確かに
そう静かに思った。
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