小説(WC後)

□一斉の声 2
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練習の為に、当然として体育館を訪れた緑間と高尾が目にしたのは…10人以上いる

マネージャー希望の女子。
しかも、良く見れば…その中にも数人…2年と3年が混ざっていて…。


『帰るのだよ高尾』
『いや練習しろよ』


それを見た瞬間…緑間はそう言って踵を返そうとしたが、高尾がそれを許さない。

マネージャーとして半分
もう半分は…面白そうだったからだ。


『緑間センパァァイ!!』
『これ…明日のラッキーアイテムです!!』
『私のも、ちゃんと使ってくださいね」

次々と緑間に渡されるのは、橙色のタオル。

それこそが、明日のラッキーアイテムなのだが…


『それではないのだよ。
おは朝のラッキーアイテムは…』
『ほらよ真ちゃん』

緑間の言葉を遮るように、そう言った高尾が渡したのは

男性アイドルの下敷き


『ったく、朝から電話で叩き起こされて…何事かと思えば、男性アイドルの下敷きを持って来るのだよ…だもんなぁ。

ちなみにそれ、俺が直々に妹に頭下げて借りて来たんだからよ。

絶対明日には返せよ』


男性アイドルには興味がない高尾だが、妹がファンだったのを思い出し、頭を下げてまで借りてきた。


『あの…緑間先輩?』
『わりぃねぇ。
真ちゃん…おは朝占いの信者だからさぁ。
橙色のタオルは…おは朝の裏番組の占いっしょ?』

にこやかに笑う高尾に、彼女達は引き下がった。

『えっと…あれ?』


高尾は意識してなかったが、彼女達にしてみれば…

真ちゃんと呼び…
なおかつ
緑間を熟知してる

そんな高尾に、彼女達は太刀打ち出来ないと考えたのだろう。


『高尾…良くやったのだよ』
『って、また今年も俺1人で一軍マネージャーかよっ!?。
今年は…絶対にマネージャーが欲しいって思ってたのに…』

叫ぶ高尾だが、そんな彼女の願いは虚しく…今年もマネージャーは彼女1人となった。


「大変なんだぜ。
去年は大坪さんが…いろいろと手伝ってくれてたけどよぉ」

笠松同様に…3月に卒業してしまった大坪は、秀徳の大黒柱で…1人しか居ないマネージャーの高尾を気遣い…いろいろと手伝ってくれていた。


「ミドリン…女の子に力仕事させちゃ駄目だよ」

もうっと頬を可愛らしく膨らませる桃井に、緑間はフンッとそっぽを向いてしまい…。


「洛山や陽泉は…どうなんでしょうか」

此処にはいない…もう2人のキセキの世代。
黒子が気になるのは…其処の新入部員だ。


「洛山も、海常秀徳とそう変わらないよテツヤ」

そう言う彼の姿に、慌てたのは黒子達だ。


「何で赤司っちが此処に居るんスか?」


洛山は京都にある。
しかし此処は東京。

居る筈のない人物が居る事に、黄瀬はそう思った事をそのまま口にした。


「千尋に届け物があったんだよ。
寮に置いていったらしくてね。
教科書なんだが…」


黒子達には言わないが、本当ならばそれは…赤司ではなく葉山が行く予定だったが、それを赤司が自ら行くと言い出したのだ。


「黛さんの場合…それ確実に《処分して》の意味だと思うっスけど」
「言っては駄目ですよ黄瀬くん」


黄瀬の言葉は、その場にいる全員の気持ちだが…敢えて黒子はそう言う事で…赤司の幸せを壊すのを止めた。


赤司は黄瀬の言葉を聞いてなかったが…。





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