小説(WC後)
□一斉の声 2
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「と、いう事があったんです」
練習を終えた黒子が向かった先は、学校から少しばかり離れたマジバ。
其処で、待ち合わせをしていた恋人と合流し、今日の話をした。
「相変わらずだねぇリコさん」
黒子の恋人であり、誠凛バスケ部のライバル校のである…桐皇バスケ部のマネージャーを務める桃井さつきは、楽しげにそう言って…黒子と同じバニラシェイクを一口飲んだ。
「桐皇はどうですか?」
「まぁ、バスケ推薦が多いかな。
あと、青峰くん目当ての女子が入って来たよ〜」
バスケ
食事
寝る事と…恋人
この4つが頭を占めている青峰だ。
しかし、ルックスだけならば…彼は輝いていて…。
「テツくん?」
「桃井さんは…その青峰くんとは…」
中学時代から、桃井は青峰と共に行動する事が多かった。
桃井曰わく
《青峰は手の掛かる弟》
らしく、そこに恋愛感情がない事は知ってるが、黒子としては…どうしても気になってしまい…。
「青峰くんとは単なる幼なじみ。
それに、青峰くんは今吉さんしか興味ないよ」
クスクスと笑いながら、そう答える桃井に、黒子は馬鹿な質問をした事で…バニラシェイクを飲む事で、恥ずかしさを隠した。
「あ、でも」
しかし、そう桃井から言われた時は、黒子の心がまさかと…叫び…
「桜井くん目当ての男子も入部したんだよ〜」
その言葉にホッとした。
「桜井くんって、男っスよね?」
そう2人の間に入って来たのは…制服姿の黄瀬涼太で…。
「今日仕事だったんですか?」
「違うっス。
幸生さんのお迎えっスよ」
照れたように、黒子の言葉に返す黄瀬は…それでも何処か嬉しそうで…。
「笠松さん…どうかしたの?」
「バイト始めたんス。
コンビニの店員で、今日は遅くなるみたいだから、俺が迎えに…」
笠松がバイトを始めると言った時には、黄瀬は大いに反対した。
笠松の右膝にある怪我を思えば、バイトなんかしてほしくない。
そう思った結果だ。
『俺が食わして行くっス』
『…バスケを疎かにするつもりか涼太?』
バスケをやってる間は、仕事は最低限にして…バスケを優先する。
そう言った黄瀬だからこそ、笠松はその言葉を許さない。
『バイトったって、お前が考えてるような仕事じゃねぇよ』
『え?。
キャバ嬢じゃないんスか?』
まさかのその答えに、てっきり大衆居酒屋の店員程度を考えていた笠松は、激しい頭痛を押さえ込むかのように、黄瀬の膝に特大の蹴りを一発入れてやった。
『痛いっスよぉ』
『痛くしてんだよ!!。
コンビニの店員だ!!』
『あ、じゃあ…遅くなるなら俺に連絡下さいっス。
絶対迎えに行くっスから』
痛いと半分涙目になっていたのが嘘のように、黄瀬は
ね?ね?
と、まるで大型犬のように笠松にまとわりついて…。
その結果…笠松は折れた。
「何時もは
16:00〜19:00までっスけど、今日は21:00までで。
だから、時間になるまで…ちょっと時間潰しに来たら、桃っちの姿が見えたんス」
邪魔させてください
そう言う黄瀬に、黒子は隣にある椅子に乗せたカバンを…自分の膝に置いて、黄瀬を隣に座らせた。
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