小説(WC後)

□一斉の声 0
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「紫原、氷室はこう見えて危険人物アルよ!!」

劉…あとで蹴るからな。

「アツシのそれは、恋愛感情からじゃないだろ?」
「なんで?」
「なんで…って…」

見た目だけで、言い寄って来る男ならアメリカ時代幾度となく見てきた。

だけど、アツシはどうだろう。


「室ちんは綺麗だよぉ。
それに可愛いし…。
俺の好みぃぃ」


えっと…まいう棒にアルコール味ってあるのかな?。


「氷室…お前顔赤いぞ」
福井さんに指摘され、慌てて熱を冷まそうと、手で顔扇いだものの…熱は引いてくれなくて…。


「紫原…氷室を泣かせたら許さんからの」
「泣かせたしぃ。
だけど、もう絶対に泣かせない。
約束するし…」


岡村さんとアツシの会話が…泣きたいぐらいに嬉しくて…。


好きだって思った。

とても唐突に
とても素直に…


「アツシ…俺も好きだよ」
「良かったぁぁ。
室ちんに嫌われたら、俺陽泉辞めようって思ったぁ」

え?。
それってアツシにとって、どれだけの事なんだ?。

「氷室。
留年してでも良いから、紫原が卒業するまで残れ」
「留年進める教師が何処に居るんですかっ!?」
「此処だ!!」

「室ちん留年するのぉ?。
あ、なら寮も一緒にして貰おうよぉ」

あ…頭痛い…。

だけど、嬉しそうなアツシを見てると、俺まで嬉しくなるなぁ…じゃなくてっ!!。

「なら、氷室は我を先輩って呼ぶアルな」
「劉…ちょっと表出ようか」

そして半殺しにしよう。

あ、だけど顔面とかは痕が残るし…腹だな。


「アツシ…俺は留年しないし…そもそも学年や性別だって違うんだから、寮での同室は難しいと思うよ」

「バスケ部の安泰の為だ。
寮母には私から言っておくから安心して良いぞ」

そして監督も何言い出すんだっ!?。

安心って…全然安心出来ないぞ!!。


「そういや、女子寮の寮母と監督って親しいよな?」
「あぁ。
私の舎弟の1人だからな」

舎弟?。
あぁ、そういえば監督って元は暴走族だったんだっけ。

「喧嘩の夜桜
 走りの鬼面
元々は秋田じゃなく、栃木や群馬で活動してたんだが…。
あぁ、ちなみに夜桜はレディースで、鬼面は男のみだぞ」

ほらと、一枚の写真を見せてくれた監督だけど…

「………」
「………」
「………」

全員が絶句した。

写真の中央にいて、釘バット持ってるのが…若かりし監督だったからね。

「卒業といえば、私は卒リンを思い出すなぁ」
「卒リン?」

「卒業リンチ」

酒飲みたいなと言う監督のその…聞き慣れない言葉に、卒業生の岡村さんと福井さんを見れば


「卒業リンチって何じゃ?」
「どっちにしろ、お前は狙われねぇから安心しろモミアゴリラ」

そんな会話をしていて、俺は…

明日からこの2人が居ないんだ

そう思うと、少しの不安と強い寂しさを感じた。



《陽泉END
→洛山》
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