小説(WC後)

□一斉の声 0
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卒業式だからって、練習はねぇのに…


「ホンット真ちゃんってバスケバカだよなぁ」
「五月蝿いのだよ高尾」

先輩達を見送って、そのまま体育館に移動。
それに何も言わずに付き合う俺も…大概だけどさ。


俺の軽口に…真ちゃんは3Pを放ちながら…って、それで何で入るかが…わっかんねぇんだよなぁ。


「さっすがキセキの世代」
「………」
「真ちゃん?」


俺を見てくる真ちゃんに、流石の俺の鼓動が早くなる。


「そうやってお前は…俺との溝を作るのだな」
「は……溝…?」

「キセキの世代の緑間真太郎」

いやいや、ぜんっぜんわっかんねぇって!!。


「真ちゃんはキセキの世代じゃん」
「…キセキの世代…
だが、負ければその栄光は消えるのだよ」

えっと…つまり…


「赤司に負けたから、キセキは返上?」
「赤司だけではない。
黒子と火神にも負けたのだよ」

真ちゃんがそうハッキリ言った事に、俺はマジ驚いた。


偏屈で
不器用で…
時折口先だけの

緑間真太郎


ったく、変わったのは真ちゃんだろっての。


「俺さぁ、お前の事好きだわ」
「高尾?」

「中学3年の全国大会初戦
帝光中対翔北中
結果は180対15」


翔北中学は俺の母校で、初めての全国大会だった。

友達と試合観に行って、その試合結果に愕然としちまったが、俺はその中の1人に恋をした。


「覚えてないのだよ」
「だろうな」

ボールの片付けを始める真ちゃんに、タオルを投げた俺は…


「その試合観てた。
で、相手中学の緑間真太郎に惚れたんだ」


そう笑って言ってやった。


「たか…」
「別に答えとか求めてねぇから、安心しろって。
こっからは独り言。

まぁ、正直それっきりだろうなぁとか思って、秀徳に入学したら…惚れた男が目の前にいた。

運命とか信じてねぇし、どっかの誰かさんみてぇに占いにも興味ねぇ。

だけど、惚れた男が目の前にいて…バカスカ3P決めて…

で、やっぱり好きだなぁって思って…

好きだぜ…真ちゃん」


自分で何言ってんのか…解んなくなってきた。


「俺は…」
「解ってるって!!。
真ちゃんが好きなのは熟女!!。
同年齢には興味ねぇんだろ?」

そう言っても、最初にそれを知った時は…流石にショックだったけどなぁ。


「覚えているか高尾」
「何を?」
「WCセミファイナルで、洛山に負けた時の事を」

「忘れるワケねぇだろ。
あんな風に負かされて…忘れるなんて出来っかよっ!!」


勝ちたかった。
大坪さんが率いるあのチームで…勝ちたかった。


「お前が居たから…俺は泣けたのだよ」
「真ちゃん?」

声が近くなってきたと思ったら、真ちゃんの腕が俺を強く引き寄せていて…気付いたら真ちゃんの腕の中にいた。


「お前に勝ちを見せたかった。
お前がマネージャーをしてくれていたから…だけじゃない。

緑間真太郎として
1人の男として

高尾和葉に勝利を見せたかったのだよ」


どんな顔をして言ってるのかと、顔を上げようとしたら…頭を押さえ込まれた。


「お〜い真ちゃんさぁ」
「見るな高尾」
「いや、それはマジ気になるって!!」


「あぁ…うん。
若いってのは良い事だよねぇ。
だけど、体育館の使用許可は出てないし…
で、さっさと帰りなさい」


そう言われた俺達は…ハッとしたように俺は後ろ…真ちゃんは前を見れば

監督が呆れモードで立ってた。


「急いで片付けをするのだよ高尾!!」
「わーってるっての!!」

どっから見てたんだよ監督

だけど、それを聞くのが怖い俺達は…慌てて片付けを済ませ


「真ちゃん…俺も好きだぜ」
「当たり前なのだよ」


そう笑って言い合った。

「緑間…高尾
大坪達の果たせなかった夢…今度こそ」

「当たり前っしょ」
「当然なのだよ」

体育館を出ようとした瞬間、監督にそう言われた俺達は、声を揃えてそう返した。


打倒洛山!!と誠凛ってな!!。



《秀徳END
→陽泉》
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