小説(WC後)

□一斉の声 0
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【一斉の声 0】


《in桐皇》

「諏佐先輩
 今吉先輩

ご卒業おめでとうございます!!」

パンパーン

そんなクラッカーが鳴り響くんは、バスケ部のロッカールーム。


うちと諏佐の胸元にあるんは、今日卒業した証拠となるん花のモチーフや。


「ほんまにおおきにな」

そう言えば、桃井が泣きそうな顔で…


「これ作ったんです」


って差し出したんは…これ何?。

ダークマター?。
それともポイズンクッキング?。


「クッキーです。
ちょっと焦げちゃいましたけど…」
「ほな……諏佐食ってくれへん?。
うち甘いの苦手やから」

「今吉さんが甘いの苦手なのは知ってましたから、甘さ控え目にしてあります」


あかん…。
せやったな。

桃井は桐皇バスケ部が誇る有能なマネージャーや。

うちらのデータなんて、調べんでも解るやろ。


あかん…
うち…もう終わったわ。

「おい、青峰はどうしたんだよ!?」
「す…すみません。
声掛けたんですけど、卒業式なんて興味ねぇって…どっか行っちゃって…」

若松の怒鳴りに、桜井マジ泣きしとるで…。


「しゃあないな。
ウチ探しに行くから、諏佐…桃井の手作りクッキー食べて待っといて」
「おい今吉!!」

ほななと手を振るウチに、諏佐の叫びが聞こえたんやけど、いっくら桃井の料理食ったからて、死ぬ事はないやろ。

それでも…ウチは食わへんけどなぁ。

さぁて、青峰は何処に居るんやろ?。


時計を見れば15:00をちょい過ぎたとこやし、天気もえぇし…


「煙とナントカは高い所が好きやもんなぁ」


ウチはそう呟いて、階段を上り始めた。


3年間やで…。


1年や2年の時よりも、この1年の方が…ずっと中身があったんや。


「寂しなるなぁ」


『俺に勝てるのは俺だけだ』
『ざけんなっ!!。
俺は巨乳が好きなんだよ!!』

『…負けたのか…』

ウチが思い出すんは、ウチが惚れた男の事。


自分勝手で
ホンマにワガママで…
後輩としてのカケラもない


青峰大輝


彼の事ばっかりやった。

アホ峰で…ホンマにどうしようもない奴やけど…惹かれてしもた。


好かれんでもえぇて、ウチは何度も青峰と寝た。

『練習月に一回出るんやったら、体好きにしてもええよ』


そう言った自分に嘘はない。
せやけど…体だけの関係に満足出来へんなってしもた。

体だけやのうて、心も欲しい

そないな事を考えておる間に、気ぃ付いたら卒業式。


「間抜けやなぁ」


屋上に続く唯一の扉を開けて、そう小さく呟くウチに

桜の花びらが舞った。




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