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□不器用な恋愛事情
act 8
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部屋割りは

桔梗の間
  青峰&今吉
鈴蘭の間
  緑間&宮地
百合の間
  黄瀬&笠松
牡丹の間
  紫原&氷室
紅梅の間
  火神&黒子

と決まった。


どの部屋も広さと間取りは変わらず、夕食は三組と二組に別れ、卒業旅行組は《桔梗の間》で、くじ引き組は《紅梅の間》で、それぞれ取る事になった。


《鈴蘭の間》


「眺め良いじゃねぇか」

窓から見える景色は、東京ではなかなかお目に掛かれない緑豊かで…それを見るなり、宮地は感嘆な声を上げた。

荷物を部屋の隅に置き、緑間は子供のようにはしゃぐ恋人を見て、良かったと内心で安堵していた。


部活中は、誰よりも厳しく…一切の妥協を許さない宮地は、一年や二年からも恐れられていて


『宮地さん怖いよな』


そう高尾が言っていたぐらいだ。


そんな彼女が、唯一言う事を聞いたのは、主将の大坪のみ。


宮地さんは、大坪さんが好きなのだな


そう緑間が思う程に、二人の仲は良くて…


それでも、秀徳が激戦を繰り広げ、WCセミファイナルまで進んだ時には

『お前に感謝してなくもねぇぜ』


そう不敵に笑う宮地がいた。


「俺…お前の事ちゃんと好きだぜ」


そして今、あの時の笑顔のまま、宮地はそう言って、緑間に寄り添っている。

「宮地さん」
「最初は、テメェなんざだいっきらいだって思った。
キセキの世代だか何だか知らねぇけど、生意気で可愛げなくて…。
まぁ、それは今も変わらねえけどさ。
でも『だいっきらい』じゃねぇよ」

ぶっきらぼうで、素っ気ない言い方だが、それは彼女の照れ隠し。

「好きなのだよ宮地さん」
「…真太郎」
「え?」

名前で呼ばれるのなんて、中学以来だ。

そう思うと、らしくもなく慌てる緑間に、宮地は意地悪く笑うと…

「なんだったら、高尾と同じく真ちゃんって呼んでやろーか?」

そう言って…


「宮地…セイさん」
「名字はアウトだが、名前で呼んだから、今は許してやるよ。
あ、それと…」

ちゅっ


音をたてて合わさる唇


それは宮地からのキスで…


「宮地さんっっ!!」
「お前に任せてたら、俺処女のままで婆さん決定だからな。
覚悟しとけよ」

風呂行ってくらぁ


そう言って出て行く宮地を呆然と見送り…


「可愛い人なのだよセイは」


そう呟いてから、緑間も立ち上がったのだった。




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