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□不器用な恋愛事情
act 8
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「あ、荷物持つっスよ笠松センパイ」
受付を無事に済ませたらしく、黄瀬はそう言うと、笠松の荷物を軽々と持ち上げ…
「貸すのだよ宮地さん」
緑間も軽々とそれを持つと
「持ってくれへんの青峰?」
今吉はそう自ら、青峰に荷物を差し出し、そう笑って訊き、それを無言で青峰が受け取り…
「室ちん」
「あ、お菓子入ってるから潰すなよ敦」
軽々と氷室の手からそれを奪ったのだが、氷室のその言葉を聞くや否や、紫原は潰さないように力を緩めた。
「火神くん」
「お前は男だから、テメェで持てよ」
「力ないんで」
「ざけんな黒子っっ!!」
頭をポカリと火神に言葉と共に殴られた黒子は、軽い舌打ちをすると、自分の荷物を持ち上げた。
「飯の前に風呂行こうぜっ!!」
「悪ないなぁ」
「せっかくの温泉だからな。
氷室も一緒にどうだ?」
宮地の提案に、考える間もなく今吉も笑顔で同意し、笠松に至っては氷室を誘う始末だ。
「でも…」
今吉と笠松…そして宮地は共に同年齢に対し、自分だけが住む場所も年齢も離れていて、それが氷室を躊躇させている。
「行きたかったら行けば」
突き放すような言い方の紫原だが、その裏に隠れている優しさを見逃す氷室ではない。
「なら、俺達も風呂行かないっスか?」
「行ってやっても良いのだよ」
「しゃあねぇなぁ」
「泳げるぐらい広いといいなぁ」
黄瀬からの提案に、上から目線の緑間と青峰も同意したのだが、紫原が呑気に言ったその一言で、空気が止まった。
紫原の身長は2mを越えている。
そんな彼が風呂で泳いだりしたら、お湯がなくなる。
「紫原くん、お風呂は泳ぐものではないです」
「え〜〜」
「敦、そんな真似したら…本気で怒るからな」
黒子の言葉に、紫原は不服といった口調になった瞬間…氷室はにこやかに微笑むとそう言って…紫原を肯かせた。
氷室が本気でキレた姿を…過去に幾度となく見てきた火神は、あの恐ろしさを思い出し、ゾクリと身を震わせた。
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