飛べない烏は夢を見る

□あと一歩を烏野に
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 第3セット



 1・2セット目の学習を活かして同じミスは繰り返さないように、3セット目まで来れば相手の攻撃パターンにも慣れてくる

 落ち着いて対応を……!



 「(ああ、うん大丈夫……ちゃんと戦えてる)」



 今の得点は烏野8、青城9



 『なかなか攻撃決まらない……!』

 「ああ、ラリー続くな……」

 「守備もブロックも平均値では青城のが上だろうけど……」



 トンっ


 「フェイント!!」

 「っしゃアアッ」


 「ノヤさんナイスレシーブー!!」

 「ナイス西谷!」

 『ノヤっさんカッコいいーっ!!』



 平均値では青城に及ばなくても烏野には守護神のノヤっさんがいるもんね!



 ドッと旭さんがスパイクし、レシーブしたのは及川さん


 あれ、トスあげられないんじゃ………?


 すると


 「渡っち!!!」

 「ハイ!!!」


 リベロの人は及川さんに応えると


 キュキュッ……


 「!!」

 「レェフトォオ!!」

 「「「!!!」」」


 レフトじゃない!?



 フワッ


 「大王様のっバックアタック!!?」


 リベロの人のトスから、及川さんのバックアタック……


 バガンッと決められ、青城は10点に


 ノヤっさん驚いた顔だ……同じリベロでもこんなに違うんだね……!



 「あの色違いの子上手〜、及川くんみたい」

 「今の…トスが上手いってだけじゃない凄さだよ…」

 「?」


 「リベロは制約が多くてさ、コートの中の線(ライン)よりも前で今みたいなオーバーハンドでのトスをあげて、それを誰かが攻撃(スパイク)すると反則になっちゃうんだ」


 「??」


 「えーっと、つまりトス自体は可だけどそれを打つのは不可ってルールなんだよ。だからトスをあげられない様なモンなのね」


 『だから、今あのリベロは線のギリ後ろで踏み切って空中でトスを上げた……これなら攻撃も問題ないってことです』


 「セッターが役割を果たせない時でもハイレベルな攻撃ができ且つ、攻撃力の高い及川も攻撃に加えることができる……!何よりそれを¨咄嗟にやれる¨っていうことが凄い……こういうの見ると流石強豪って感じするわ……」



 また次も試合は及川さんの強烈サーブでスタートし、大地さんのレシーブ影山くんのトス旭さんのスパイクで返す


 返したボールは3番の人が拾い、そのまま烏野に返ってくる……そんなとき


 「ふぐっ」


 フワッ


 日向くんが押し込めようとネットに近付くと及川さんがギリギリで岩泉さんにトスを上げた


 ガンっ

 「オラッ」


 烏野は8点から変わらず、青城は11点に


 ここで烏野はTOを取ることに






 TOが終わり、試合再開


 ……きっと必要以上の気負いも緊張もない。今皆は本来持ってる力が出せてる

 だからこそ、じわじわと現れるチームとしての地力の差……!



 ……私のいる近くで¨何だかんだでやっぱ青城のが上って感じ¨とかいう発言が聞こえたけど……

 ……何処の学校の人かな?



 トトンっ


 「ナイス月島¨忘れた頃にやってくるいやらしフェイント¨!!!」

 「「呼び方……」」

 「オラオラもっとしゃべれーっ」

 「アゲてけーっ」


 今の得点は烏野11点、青城13点



 100%の実力を出したときチームとして強いのは青城なんだと思う

 でもそれが70%に落ちたり、120%に跳ね上がったり……勝負ってそういうもの


 そして烏野には皆の攻撃力を120%にするための¨最強の囮¨がいる……!



 しばらくすると菅原さんは日向くんに


 「鳥養さんが言ったこと覚えてるか?」

 「¨コート幅めいっぱいの攻撃¨……ですか?」

 「そう、それに最適な攻撃……今回はまだ殆ど使ってないハズだ」


 
 ウォームアップゾーンで欲求不満を溜めた、小さなケモノ……


 今の日向くんを見ているとそんな言葉が似合うオーラを放ってた


 月島くんのサーブの番になり、ノヤっさんが戻ってきて日向くんが入る



 ……最終セット、烏野はようやく噛み合ってきてる

 それでもまだ青城には一歩及ばない。そこを一歩踏み抜く未知の可能性があるとしたら……


 日向くん、影山くん……烏野にあと一歩を!!




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