飛べない烏は夢を見る
□待ってます
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そして早くも翌日の放課後
私は体育館じゃなく…………グラウンドの芝生の物影にいます。観客席っていうかなんていうかそんなところのね!物影!!
理由はただひとつ、旭さんがいるから。
うん、そろそろ勇気だして話しかけよううん。
『旭さん!お久しぶりです!浅川です!!』
「うわぁ!?……浅川ひさしぶり。何故ここに?」
『いやぁ、かれこれ30分近くあそこの物影から旭さんの様子を伺っていまして』
「え!?」
『はい!私がここにきた理由……』
「……俺は部活には戻らないよ」
『最後まで聞いてくれ!ください!旭さん!!』
私はトーク力とか全然ないけどこれだけは伝えたいから。
『私知ってます。見てます。体育館見て佇んでる旭さん、いつも寂しそうです。本当はバレーやりたいってオーラ充満してます。バレーが嫌なら嫌いになってしまったならシューズだってカバンからひよこっと顔出してませんよ!!自分を偽らないでください旭さん!!皆貴方のこと待ってます!先輩たちだって、私の学年だって、後輩たちだって、私もです……!』
「浅川……」
『それに!いつも旭さんは自分以外のことばっかり言うから……旭さんの気持ちは?バレーまだ好きですか?嫌いですか?またやりたいですか?やりたくないですか?』
「…嫌いじゃないし、やりたくないわけじゃない…皆とまたやれたらいいなって思ってる…」
『…私はじめて旭さんの本音を聞けた気がします。言ってみるもんですね!!………はい、というわけで着替えて体育館行きましょう旭さん!!』
「ええ!?今から!?」
『今からも何も、まだまだ部活やってますって!ささっ、早く早く!!』
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『すいません!遅れました!!………ほら、恥ずかしがらずに入ってください!!』
「でっ………でも……」
なかなか体育館に入るのを躊躇う旭さんを引っ張っていると日向くんが旭さんだ!と叫び皆私と旭さんのいる入口に注目した
「なんだ遅刻かナメてんのかポジション何処だ!!」
「あっえっと…WS…」
「人足んねえんださっさとアップとってこっち入れすぐ!!すぐすぐ!!」
『…ほら、旭さん!』
「う、うん……」
ていうか、あの人坂ノ下の人だよね……皆の行き付けの店の……
重い足取りだけど旭さんは体育館に入ってくれた
田中が教えてくれたけど、坂ノ下の人は有名な烏養監督のお孫さんらしく音駒との練習試合まで監督をしてくれることになったらしい
そして今から今の烏野の実力が見たいから町内会のバレーチームの方々と試合するみたい
菅原さんか影山くんのどっちか町内会セッター居ないから入ってと言われ、菅原さんが前に出た
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