ロング小説

□氷と炎と水
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「ところで、ここはどこなんでしょうね」
「ああ、完全に迷ったな」
二人は帰るに帰れないでいた。山なので下手に動くともっと迷う恐れがある。周りは水だけなのでナツの自慢の鼻も効かない。
「とりあえず下山するしかないですね」
「だな。今日中に帰れたら良いんだけどなぁ」
「はい。でも、ナツさんが一緒でよかったです。ジュビア一人だったら今ごろ泣いてました」
ジュビアは何気なく言ったつもりだろうが、ナツにとっては嬉しい言葉だ。だが、浮かれている場合ではない。今は下山が先だ。とは言ったもののもう日が沈みかけている。これ以上山の中を歩くのは危険だ。
「今日はもう帰るのは諦めた方が良いですね」
「ああ、そうだな。明日日が昇ったらまた歩こう」
「では今日は野宿ですね」
野宿?一晩?二人で?一緒に?・・・
「ってー!変なこと考えんなー!俺ー!」
ナツは自分の妄想に恥ずかしくなってつい大声をあげる。その声にジュビアはビクッっと驚く。
「あ・・・わりぃ」
「は、はい。あっ、ジュビア何か食べるもの探してきますね」
そう言ってジュビアは走って行った。
「あー、だったら俺も」
「ナツさんはそこで火を起こしててください」
一人で行かせるのは危険だが仕方ない。ナツは木の枝を集めて火を着けた。
しばらくするとジュビアが帰ってきた。手には魚が二匹捕まえられている。
「お待たせしました。魚捕まえてきましたから焼きましょう」
「おう、サンキューな!」
二人は魚を串刺しにして焼いて食べた。
「ナツさん、足りますか?良かったらジュビアの分も食べてください」
「いやいや、十分だ。ありがとな」
正直まだお腹が空いてるがジュビアの分まで取るわけにはいかない。ナツは我慢した。
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