小説 フェアリーテイル

□メリークリスマス
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マグノリアの町が雪で覆われている。その上を歩く二つの人影。
「ったく、ミラちゃんも人使いが荒いぜ。なにもこんな雪の中買い物に行かせなくても」
グレイが文句を言う。
「まあまあ、いいじゃないですか。ジュビアは楽しいですよ。まさか今日こんな日にグレイ様と二人で出掛けることができるなんて」
隣ではジュビアが楽しそうに言う。
「今日?なんかあったか?」
グレイが言うとジュビアは信じられないというような顔をする。
「グレイ様!!今日はクリスマスですよ!聖夜ですよ!キリストの誕生日ですよ!」
「あっ、クリスマスか。どうりで町中がキラキラしてるわけだ」
必死に説明したジュビアに対しグレイは至って冷静である。
ジュビアはハァーっとため息をつく。
「まさかクリスマスを忘れる人がいるなんて・・・子供でも楽しみにしてますよ」
「そんなこと言われても今まであんまり祝ったこともなかったし印象に残らなかったんだよ」
ジュビアもそんなにクリスマスを祝ってきたわけではない。しかし、女の子にとっては憧れの日だ。特に恋する乙女にとっては。
時刻は6時ちょっと前。二人は広場の前を通りかかった。その時

パァッ

いきなりなにかが眩しく輝きだした。
見てみると大きなクリスマスツリーに綺麗なイルミネーションが飾られてそれが6時に点灯されたのだった。
「わぁ!綺麗ですね、グレイ様」
ジュビアが楽しそうに笑う。その笑顔にグレイは少しドキッとした。
「あ、ああ。綺麗だな」
グレイが綺麗だと言ったのはイルミネーション?ジュビア?それはグレイにも分からない。
クリスマスの夜、綺麗な光が二人を包む。
「ジュビア」
「はい?」
「メリークリスマス」

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