ロング小説
□雲の切れ間から光射す
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ジュビアが出発してから数時間後、ナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイ、エルザ、ウェンディ、シャルルのチームが帰って来た。
「ただいまー!飯だ飯だー!!」
「まったく、ナツは雨でも元気ね〜」
ルーシィがため息混じりで言った。雨が激しくなってきたのか、傘はさしたのだが、みんなそこそこ濡れている。
「おかえりなさい。雨、激しいの?」
「ああ、マグノリアに着いたあたりから急にな」
ミラから差し出されたタオルを受け取り、エルザが言った。
「全く、服までビショビショだぜ」
「あんた服着てないじゃない」
「うぉっ!!」
まぁ、どこかでグレイの服がビショビショになっていることは間違いないだろう。
「みんな、温かい飲み物入れるわね」
ミラはカウンターへ、ナツたちは近くのテーブルに腰掛ける。
「今日はみんなギルドにいるのね。さすがに雨の日に仕事に行く気にはなかなかなれないわよね」
「でも、行ってる人もいるみたいですね。ガジルさんとかジュビアさんとか見当たりませんよ」
「ほんとね、ミラさーん。ガジルとジュビアは一緒に仕事行ったの?」
「ううん、二人とも別々よ。ガジルが物壊して報酬減らされるのが嫌なんですって」
ミラが持ってきた飲み物をテーブルに置く。
「分かるわー。私も誰かさんたちが色々やらかしてくれたせいで報酬貰えなかったこともあるもんね」
ルーシィはジトーっとナツとグレイに目をやる。
その時ギルドの扉が開いてガジルとリリーが帰ってきた。
「ったく、ちょっと壊しただけで報酬半分になっちまったぜ」
「あそこで暴れるからだろう。今月の家賃どうするつもりだ」
「ジュビア一緒に行かなくて良かったみたいね」
ミラがクスクスと笑う。もし、ジュビアが一緒に行っていたらショックで雨が災害レベルの豪雨に変わっていたかもしれない。
「ジュビアもすぐに帰ってくるんですか?」
「うーん、それが依頼先がちょっと遠くてね。帰ってくるのは3日後くらいじゃないかしら」
「3日後?」
話を聞いていたグレイが驚いて声を上げる。
「ええ。心配?」
「べ、別にそんなんじゃねーよ…。ただ、そんな遠出一人で大丈夫かなーって…」
「それを心配って言うのよ。私も誰かと行けばって言ったんだけど一人大丈夫って行っちゃったわ」
「まぁ、ジュビアなら大丈夫ですよ。グレイが恋しくなって超特急で帰ってきますって」
それもそうね〜っと、ルーシィとミラがグレイを見て、フフッと笑う。
この手のイジリには慣れたもので、グレイは無反応でミラの入れてくれたお茶を飲む。
確かにジュビアは誰ともチームを組んでいないので一人で仕事に行くことも多々ある。しかし、遠出しなければならないときや、大きな依頼のときは誰かに同行をお願いする。グレイも何度か一緒に行った。それが、3日かかるところに一人で行ってしまった。大丈夫だと言われればそうだろう。しかし、グレイはどうしても胸に不安がよぎるのだった。