ロング小説

□雲の切れ間から光射す
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 その日は朝から雨が降り続いていた。こんな日は仕事をする気が起きない。

「ミラさん、ジュビアこの仕事行ってきます」

 ジュビアはリクエストボードから取ってきた依頼をミラに手渡す。

「あら、こんな雨の中仕事に行くの?」

「はい、今月はちょっとピンチでして...」

 先日ジュビアはガジルと一緒に仕事に行った。しかし、そこでガジルが物を壊してしまった為、報酬が大幅に下がってしまったのだ。
 いつも物を壊すナツたちと一緒に仕事に行くルーシィの気持ちが分かった。

「でも、大丈夫?今日は一日中雨みたいよ」

 ミラが心配そうに言う。

「大丈夫ですよ。雨には慣れてますから」

「そう...ガジルは?」

「今日は別の仕事みたいなので」

 内心ジュビアはホッとしている。また報酬を減らされては困る。

「じゃあグレイにでも一緒に行ってもらったらどう?」

 ミラはウィンクをして言う。

「グ、グレイ様とお仕事!!それはぜひ!」

 ジュビアは顔を明るくして周りを見渡して、グレイの姿を探す。
 しかし、グレイの姿は無い。

「あっ、そうだわ。グレイはさっきチームで仕事に行ったんだったわ。ごめんジュビア」

 申し訳なさそうな顔でミラが言った。
 ジュビアがズーンと沈む。心なしか雨が強まった気がする。

「そうですか...では行ってきます」

 ミラは気を付けてね、とジュビアの背中を見送り、ジュビアが行った仕事の依頼書を見る。

「村を水害から救ってほしい...」

 水と言えばジュビアなのでジュビアにはうってつけの仕事かもしれない。
 しかし、この時、ミラの胸に一瞬不安がよぎった。
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