ロング小説

□氷と炎と水
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あれから一週間。ナツとジュビアに特に変化はない。だが両方ともあの話を忘れたわけではない。ナツはただ待つしかないと思い、ジュビアはどうしたら良いか分からず悩んでいる。
「どうしたの?ジュビア」
ジュビアがカウンターに座っているとミラが声をかけてきた。
「ミラさん・・・」
「悩みがあるなら話して良いのよ?」
と言われたが果たして話してもいい内容なのか
「ナツと何かあった?」
「えっ?」
まさかの言葉にジュビアは驚く。
「告白された・・・とか?」
またまた驚く。
「そうなのね?」
「は、はい・・・」
嘘はつけなかった。
「どうして分かったんですか?」
「うん・・・実はこの前ね」
「ミラちゃーん、ちょっと来てくれ−」
ミラはジュビアにごめんねと言って呼ばれた方へ行ってしまった。
残されたジュビアは悶々とするばかり。
「よお、ジュビア」
声を掛けたのはナツだった。
「ナ、ナツさん!ど、どうしたんですか?」
驚いてジュビアはどもってしまう。そんなジュビアとは真逆にナツは平然とした顔でジュビアの隣に座った。
「なんか最近笑顔見ねえなぁって思って」
「笑顔・・・ですか?」
「ああ。前はコロコロ笑ってたのに最近は笑わねぇな」
確かにそうかもしれないとジュビアは思った。
「俺のせいか?」
「えっ?」
「俺があんなこと言って困らせてんのか?」
「そ、それは・・・」
そうなのだがそこではいそうですなんて言ってしまったらきっとナツは傷つくだろう。
「あんなこと言われた誰でも悩みますよ」
ジュビアなりにだいぶ優しく言ったつもりだ。ナツの反応は・・・特に傷ついたりはしていないようだ。
「そうか。いつでも良いからな。俺ずっと待ってるから」
そう言ってナツは立ち上がった。
「ナツさん・・・」
「笑ってろよ、ジュビア。俺、お前の笑顔大好きだから!」
そう言ってみんなのところへ行った。
一人になったジュビアは笑ってみる。しかしどこかぎこちない。しばらく自然に笑えそうにはなかった。
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