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□Never forget
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「う、うわああああああああああああああああああああああああ!!!
い、いやだ、もうたくさんだ、出ていけ!出ていけよおおおおおお!!」
「フリッピー君?いつものフリッピー君だね良かった」
「え、ここ…」
「私の家。こっちのほうがあの場所から近かったからね」
「あ、ヒーロー…スプレンディドさん…」
「何か飲むかい。あたたかい紅茶か、コーヒーか、ココアか」
「紅茶、飲みたいです」
「素直でいいね。いつもの君ならこうだ。『い、いいんです!僕なんかお構いなく!』遠慮ばかり」
「僕、そんな喋り方しません」
「いーや、してるね。かわいいんだから」
スプレンディドは笑いながら紅茶とクッキーが乗ったトレーをベッドのサイドテーブルに置いた。
「ありがとうございます…」
フリッピーは熱い紅茶を啜りながら、自分が猫舌だったことを思い出した。
「あの…僕、また…」
スプレンディドは回り込んでフリッピーが寝ているベッドの端に腰かけた。
「話さなくてもわかるさ。君を助けに行ったらいつもにまして酷いざまだった。こんなこと言っていじめる気はないんだけど」
「僕を助けに?助けられるのは…カドルス!あぁあの子を助けてくれなかったんですか?」
あのあと、僕は来た道を引き返してまたランピーの病院へ行った。だけど、そこでも僕は。
血の海になった道路、内臓が飛び散った病院の室内、地獄のような光景をはっきりと思い出す。
「死んでる人間をどうやって助けるんだい?」
「そ、そんな…」
「私は正義のヒーローだけど、万能じゃない。死んだ人を私が生き返らせることはできない。
それに私が助けても助けなくても、ほとんどの住民は死ぬかもしれないんだ。
それに皆弱すぎると思わないか?豆腐の角に頭をぶつけて即死できるんじゃないかな。
助ける甲斐がないよ本当に。だけどそういう意味でも私は君が好きだよ。これは聞き流してくれて構わないんだけど。
なんでまた泣いているんだい?」
フリッピーは枕に顔をうずめて戦慄いているかのように見えた。
「大丈夫かい?」
スプレンディドは震えるフリッピーの肩に手をかけた。
2013/10/07