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□Never forget
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「だけどたまにこの町って、ランピーしかいない気がするよね。彼ってなんでもやってるんだもん。
宅配便もランピーが届けてくれるし、お店に行ってもまた会うんだ。他に彼ほど多忙な人がいるかな?」
一人で歩く帰り道、独り言を言ったつもりだった。
「俺は嫌いだな。誰が自分のことを消そうとしている奴を好きになる?」
フリッピーの頭の中で別の声が響く。
「あのヒーローと一緒だ。この町の連中はみんな俺を嫌ってる」
「そんなの当たり前だろ!あんな酷いことするから…」
「酷いだと?俺とおまえは一緒じゃねえか。昔はそうして敵を殺すのが正義だった!」
「ここの皆は敵じゃないし、昔だってあんなことするのは間違ってたんだ!」
フリッピーは自分でも気が付かないうちにぽろぽろと大粒の涙をこぼしていた。
耳を押さえながら頭を横に振る。
「あの…フリッピー大丈夫?具合悪い?」
通りかかったカドルスが心配して、しゃがみこんだフリッピーの肩にそっと手を置くも、
フリッピーにふり払われた。
「おい、俺が誰に見える?」
「え、フリッピー?」
「残念。はずれだよ」
カドルスの手首をつかみ、ひねりあげる。力の加減は知らない。
耳をつんざく悲鳴、苦痛にゆがむ表情を、フリッピーはぼんやりと聞いていた。
俺のせいにしていればいいよ、そうやってさ…。