短編

□The end begins
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どれくらいそうしてたのか。
市丸くんが静かに口を開いた。



「奏ちゃん。終わりにさせたない。


ボクと付き合うて。
3年分の想いがあるんや。
絶対大事にしたる。」



「……うん…ッ、あたしにも市丸くんを大事にさせてください…」


「おおきに。……せや、市丸くんやのうて、ギンて呼んで?」


「ギ、ギン…」


「ん」



初めて口にしたその名前。
あったかくて、くすぐったい。


「世界一の幸せ者やね、ボク」


ふいにギンが口にしたその言葉。
そんなのあたしが思ってるのに。


そう云おうとしたけど


極上の笑顔をくれたから。





“終わりは始まりな訳である”




どこかで聞いたこの言葉。
誰がいったんだっけ。




卒業できたかな、昔の自分。
始まったかな、新しい世界。



今日という日をあたしは生涯忘れないよ。

終わりじゃない。
始まりなんだって。

気づかせてくれたあなたが
本当に大好きなんです。




卒業。

此処を旅立つ日。
感謝の溢れる日。



「卒業おめでとう」



大好きなあなたと、優しく影を重ねた日。





            *Fin*



→あとがき☆
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