短編

□A cold
2ページ/4ページ


「ま、ままままま松本っっ??!!!」



盛大な音と共に部屋に入ってきたのは、今日も素敵な松本副隊長。


私は当然驚きで声も出ない訳で、口を鯉のようにパクパクするだけ。



「ちょぉっと隊長ぉ〜?私に仕事押し付けて、奏とイチャイチャって…」


「なっ…、イチャイチャしてねェ!
それにお前は普段サボりすぎなんだ、これくらい我慢しろ!」


「ふ〜ん、キスはイチャイチャって
言わないんですかぁ」



そんな言い合いをしている2人をよそに、私は一人悶々としていた。


あ、あんな色っぽい隊長、初めて見た……。
心臓がまだ(いろんな意味で)バクバクいってる…!


「あ?!」


そこで気づく。喧嘩がヒートアップしかけていることに。


止めなきゃここが壊れる…!



「あ、あの!」


私の一言に2人がこちらを見る。


「隊長、仕事してきていいですよ…?」


さぁ、収まれ、この喧嘩!



ギュムッ

突然、松本副隊長に抱きしめられた。



「ぅ、!」


「奏〜!あんたって子は…!」

すいません、息できそうにないです…!む、胸がですね…!


「松本っ!コイツ死ぬぞ!」


「あら。ごめんね?」


ありがとう、隊長。



「まぁ、それでね?喧嘩はどうであれ、あたし、隊長に嫌味を言うついでに書類持ってきただけなのよ!」


「何で、ついでが書類なんだ」


隊長のツッコミを無視して私の耳元で、タイミング悪くてごめんね、と一言。


その一言で真っ赤になった私を見て、綺麗な笑顔で今度は隊長に、


「隊長、今度感想訊かせてくださいね〜」

そう言って出て行った。



勿論、2人には気まずい空気が流れる訳で。



そんな空気を変えようときりだしたのは、意外にも隊長だった。



「ま、饅頭食うか…?」


「ぇ、えっと、私風邪ですし…あはは…」


「そ、うだな。すまん」


また沈黙。



気まずいのは、確か。
でも。気づいてしまった、







「隊長っ!わっ、私…いいです、よ?」



“欲”という本心に。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ