短編

□The anymore else
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「結局、好きなのは…こんなにも好きなのはあたしだけなんですね…」


目の前のボクの恋人は瞳を潤ませて辛そうな顔をしとる。


ちぃとだけ。
やきもちやかせとうて、乱菊とようしゃべったり、他の女の子としゃべったり。

…まさか傷つけてしまうなんて思ってもおらへんかった。


「御免なァ…奏ちゃん。」


ボクは君を傷つけてもうた。


「何に対する御免…ですか…ッ!」


そう言って、おっきな瞳からえらい綺麗な涙を流して走り出していった。
その一瞬の間に垣間見せた妖艶さに見とれたボクは、追いかけるタイミングを逃してもうた。


それより…ボクが好きなんは奏ちゃんだけやのに。

何でこうなってしもたんやろ…。






「ギン…。あんた言葉足りないのよ。」


気づけば乱菊が隣に居った。


「霊圧まで消して盗み聞きなんて、
 趣味悪いで?」


「たまたまよ。そんなことより、奏
追いかけた方がいいんじゃないの?
勘違いしちゃってるわよ。」


勘違い…?

疑問が顔に現れとったんか、乱菊はボクを見て盛大にため息をついた。


「あんたってホント…。
 あのねぇ。“御免”てそんだけしか言わないから。
奏には“浮気してごめん”って認めたように聞こえたのよ。」


「あァ…、せやから最後に…。」


「弱気でしんみり、なんてあんたには似合わないでしょ?
ほら、はやく奏のとこ行きなさいよ!
大事な恋人をいつまでも泣かすんじゃないわよ!」


「乱菊。おおきに。」


「な、何よ、お礼言うなんて珍しいわね?」


……ボクそんな言わへんかな。


大切な幼馴染に後押しされて奏ちゃんを探す。



すぐに見つけられるんよ?
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