「俺ってこんな惚れっぽい性格してたっけかなぁ…?」 ガシガシと頭を掻きむしり、取り敢えず俺は暴走しそうな妄想を振り払うように洗面所で顔を洗ってから、徐ろに洗面器とタオルを用意し始める。 あいつが気絶した後に身体の方は拭き取ったが、今度は目を冷やさなければ…とか。何てゆーか、すっかり俺って気配りキャラ? 「あ、氷いるか…」 ちょっぴり不毛な気分に陥りながらも、それでもふと思いたって冷蔵庫を覗いてガラガラと洗面器に氷を入れる。 そして水を入れる為にもう一度洗面所へ戻ろうとした時だった。 「ただいまヨ〜」 「お早うございます、銀さん」 玄関の開く音と二人の声に、文字通りギクリとなって俺は立ちどまった。 「お、お前ら!? 随分早いじゃねーのォ!?」 「銀ちゃん淋しがってる思て早めに帰って来たアル」 「て言うか、朝から姉上に追い出されたんですケドね」 クソ!あの女、気の利かねぇ!! お水の女が午前7時から活動してんじゃねーよ!!と、自分勝手な理由で思わず心の中で叫ぶ。 「て、何やってるんですか?銀さん…」 「イヤ…別に…ι」 言いつつ自分でもちょーっと怪しいかな?とは自覚していた。 「何か怪しいアル!さては銀ちゃん!私が留守良い事にどこぞの女連れ込んだネ!!」 神楽、お前なにげに勘鋭いんじゃね!? 「マジっすか!?銀さん!!」 「あ、や、違うから!」 「言われて見れば……昨日は誰かお客さん来たんですか?この酒瓶と甘味処の残骸の数々…」 そういや…こっちはまだ片付けてなかった。 新八、おめーは流石にしっかり者だね…見る所が違うよホントι そうして何て答えて良いか迷ってる間に、玄関先から神楽が大きな声を上げた。 2007/06/25
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