四季

□熱中症
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「暑…」
ガンガン照り付ける太陽は容赦なく、まだ梅雨の時期だと言うのに真夏の天候。
余りの暑さに、いつもなら賑わって活気のある通りも人通りは疎らだった。
そんな中、グッタリと重い足を引き摺ってまで何故僕が歩いているかと言うと、

「あの馬鹿共の所為だぁー!!」

思わず人目も気にせず太陽に向かって叫ぶ。
その所為で余計に暑さが増して、僕はまたグッタリと項垂れた。

事の起こりは……

て、もうイイや…。回想すんのも面倒臭い。
僕はとにかく帰り道を急ぐ事にした。


途中、川沿いのベンチに見覚えのある人を見かけて、思わず僕は足を止めた。
「あれ?沖田さん。こんな所で何やってんですか?」
そう声を掛けると、ベンチに寝そべったまま妙なアイマスクを外して僕の方へ視線を向けた。
「…ああ、お前さんは確か万事屋の…」
「新八です。志村新八」
「ああ、そう、シンパチ君ね」
どうやら僕の名前を覚えていなかったらしい。
まあいいかと思いながら近付けば、沖田さんは起き上がってベンチに座り直した。
「で、どうしたんです?こんな昼間っから…今日は仕事お休みですか?」
「そ、オヤスミ。お前さんは、何?買い物帰り?」
「ええ。あ、どーも」
どうぞ。と促され、何となく僕は隣に腰掛ける。
こんな風にこの人と二人でベンチに座ってるなんて、何だか不思議な感じだった。
だからと言って何か話す話題もなく、沖田さんはただ目の前の川をぼんやり眺めている。
沈黙とジリジリと焼ける太陽に耐えられず、
「ほんと、今日は暑いですよねぇ」
等と話題を振ってみたが、
「そーだねィ」
と、見れば汗ひとつかいていない顔で相槌程度の答えが返されただけだった。
つーか、何でこの人汗かいてないの?こんな暑いのに!


2007/07/30

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