「副長ォ−−ッ!沖田さんマジにどうにかして下さいよぉぉぉ!!」 そう言って泣き付いて来たのは真撰組監察方の山崎退だった。 何でも捕物中に後ろから狙撃され、布団の中にコンニャクを敷き詰められ、大事なラケットをへし折られたらしい。 「何で俺こんな嫌がらせされるんです?何か俺、沖田さん怒らせるような事しました?」 半泣きで縋ってくる相手に土方は溜め息を付きながら頭をかいた。 「あ−−、わかった。わかった。俺から総悟に言っとくから、心配すんな山崎」 「ホントですか?ホントですよ!」 本当にお願いしますよぉ… そう言い残して山崎が部屋を後にした直後、入れ代わるように話題の中心人物が現れた。 「なんでィ…山崎の野郎…告げ口たァ卑怯な奴……だぁッ!!」 沖田が言い終わらない内に上から土方の拳が振り下ろされた。 「なーにするんですかィ、土方さん」 「何じゃねーよ!ナニ意味もなく山崎虐めてんだオメーは」 「良く言うよ、自分だって山崎パシリに使ったりしてるクセに」 「お前のは単に嫌がらせだろーがよ!」 「ひでーや、土方さん!俺がそんな姑息な男に見えるってんですかィ?!」 「……見える」 「だいたいバズーカは犯人狙ったものだし、ラケットの件は不可抗力で、コンニャクの件に関していゃー夜寝苦しいってんで涼を取ってもらおうと思う優しさからでさァ。それを嫌がらせとか虐めとか言われた日にゃ俺も立つ瀬ないってもんでしょーが」 土方の言葉を無視したままそこまで言い切ると沖田は涼しい顔でふぅと息を吐いた。 沖田がこう言う時は必ず『自覚の上で態と』の場合が殆どだと知っている。 そして人の言葉に耳を貸さない事も。 「これ以上は止めとけよ」 土方にはそう諭すのが精一杯だった。 2007/04/29
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