Short Story

□only you
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ダイニングに顔を出すと、私の名前を呼んで、これ以上ないくらい嬉しそうに笑うあなた。
それはいつもと変わらない、私の大好きな表情。


私はあなたに会いに来た事を悟られないように、あらサンジ君、とだけ言って、手に持っていた日誌をテーブルの上に広げた。

そうすると、至って自然に、流れるような仕草で、あなたは私が好きな紅茶を差し出してくれる。
それから、穏やかな表情になる。まるで、日誌書くの頑張ってね、と言うかのように。


私が日誌を書いている間、あなたからは絶対に話しかけて来ない。いつもはよく喋るくせに、こういう時は静かになる。
きっと、いや絶対、私が日誌を書きやすいように気にしてくれている。

だから、私はあなたに会いたくなる。
私にとってどこよりも居心地の良い空間を、あなたは作り出してくれるから。


「……ねぇ、サンジ君」


いつもは日誌を書いている間はあなたに話し掛けたりしないから、あなたは少し驚いたように目を見開いて、それから目を細めて笑う。

そんな風に笑う人だなんて、見ている人も幸せにするように笑う人だなんて、知らなかった。

 
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