Short Story
□とある日の午後
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「……そういう所ってどんな所よ」
ゾロに言われた通り暇を持て余していた私は、仕方なくゾロの言葉の真意を探る事にした。
「魔女みてぇな女でも普通に恋に振り回されるもんだと思ってな」
それが、間違いだった。
まさか尚更イライラさせられる事になるなんて。
「はぁ!?」
思わず視線がサンジ君の方へと行ってしまう。
サンジ君は今度はロビンにコーヒーを出していた。緩み切った表情をしているサンジ君のせいで、イライラが倍増する。
「寂しいなら言えばいいじゃねぇか」
「な……っ!!」
一気に顔が熱くなる。
ゾロは赤くなっているであろう私の顔を見て楽しんでいる。
ゾロのくせに私をからかうなんて生意気だ。
借金を倍にしてやろうかしら。
そう言おうとした時、不意にゾロが真面目な表情になった。
「そんな顔するくらいなら、素直に言えばいいだろ」
ゾロに対するイライラが、胸の奥で燻っていた感情に呑み込まれていく。
人の喜ぶ顔が見たくて尽くしてしまうような人に、言えるわけがないじゃない。
――寂しい、なんて。
「……私はあんたみたいな何も考えていないバカとは違うの」
本当は、ゾロが私の事を心配して言ってくれたのは分かっている。
だけど、溢れそうになる感情に蓋をするために、つい口調がきつくなってしまう。
「あぁ!?喧嘩売ってんのか!?」
「私の喧嘩は高いわよ?」
「…チッ、誰が買うか」
あぁ、なんて不毛なやり取り。
久々にのんびり出来る日だっていうのに、何でゾロの仏頂面を眺める羽目になっているんだろう。