Short Story

□とある日の午後
3ページ/6ページ



「……そういう所ってどんな所よ」


ゾロに言われた通り暇を持て余していた私は、仕方なくゾロの言葉の真意を探る事にした。


「魔女みてぇな女でも普通に恋に振り回されるもんだと思ってな」


それが、間違いだった。
まさか尚更イライラさせられる事になるなんて。


「はぁ!?」


思わず視線がサンジ君の方へと行ってしまう。
サンジ君は今度はロビンにコーヒーを出していた。緩み切った表情をしているサンジ君のせいで、イライラが倍増する。


「寂しいなら言えばいいじゃねぇか」
「な……っ!!」


一気に顔が熱くなる。
ゾロは赤くなっているであろう私の顔を見て楽しんでいる。

ゾロのくせに私をからかうなんて生意気だ。
借金を倍にしてやろうかしら。

そう言おうとした時、不意にゾロが真面目な表情になった。


「そんな顔するくらいなら、素直に言えばいいだろ」


ゾロに対するイライラが、胸の奥で燻っていた感情に呑み込まれていく。

人の喜ぶ顔が見たくて尽くしてしまうような人に、言えるわけがないじゃない。
――寂しい、なんて。


「……私はあんたみたいな何も考えていないバカとは違うの」


本当は、ゾロが私の事を心配して言ってくれたのは分かっている。
だけど、溢れそうになる感情に蓋をするために、つい口調がきつくなってしまう。


「あぁ!?喧嘩売ってんのか!?」
「私の喧嘩は高いわよ?」
「…チッ、誰が買うか」


あぁ、なんて不毛なやり取り。
久々にのんびり出来る日だっていうのに、何でゾロの仏頂面を眺める羽目になっているんだろう。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ