Short Story

□とある日の午後
2ページ/6ページ


少しして、サンジ君はグラスを持ってやって来た。


「ほらよ」
「おっ、サンキュー!」


――サンジ君はさっきから働いてばかり。

腹が減ったとせがむルフィのために、肉いっぱいの料理を作ったり。
甘いものが食べたいと言うチョッパーのために、甘いおやつを作ったり。
新しい兵器を作ってるフランキーのために、差し入れをしたり。
何も頼んでないのに、私のみかんの木の世話をしてくれたり。

こんなに天気がいいのに、何であの人は他人のために働いているんだろう。


「……何変な顔してんだ?」


見ると、いつの間にかゾロが横にいた。
手にはサンジ君から受け取ったグラスを持っている。


「変な顔って何よ」


この私に変な顔って言うなんて、失礼にも程がある。思い切り睨み付けると、ゾロは少し後ずさりした。


「…お前、ずっとコックの事睨んでるぞ」
「……別に」
「……こんな天気に何で甲板で暇してんだ?」


寝てばかりのゾロのくせに、案外鋭い指摘だ。
その理由を言えるわけがなくて黙っていると、ゾロは何やら気付いたらしかった。
心なしかにやにやしているゾロに腹が立つ。


「お前もそういう所あるんだな」


分かった風な口調がムカつく。
どうしてせっかくの良い天気なのに、こんな筋肉バカにイライラさせられなきゃいけないんだろうか。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ