Short Story
□とある日の午後
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少しして、サンジ君はグラスを持ってやって来た。
「ほらよ」
「おっ、サンキュー!」
――サンジ君はさっきから働いてばかり。
腹が減ったとせがむルフィのために、肉いっぱいの料理を作ったり。
甘いものが食べたいと言うチョッパーのために、甘いおやつを作ったり。
新しい兵器を作ってるフランキーのために、差し入れをしたり。
何も頼んでないのに、私のみかんの木の世話をしてくれたり。
こんなに天気がいいのに、何であの人は他人のために働いているんだろう。
「……何変な顔してんだ?」
見ると、いつの間にかゾロが横にいた。
手にはサンジ君から受け取ったグラスを持っている。
「変な顔って何よ」
この私に変な顔って言うなんて、失礼にも程がある。思い切り睨み付けると、ゾロは少し後ずさりした。
「…お前、ずっとコックの事睨んでるぞ」
「……別に」
「……こんな天気に何で甲板で暇してんだ?」
寝てばかりのゾロのくせに、案外鋭い指摘だ。
その理由を言えるわけがなくて黙っていると、ゾロは何やら気付いたらしかった。
心なしかにやにやしているゾロに腹が立つ。
「お前もそういう所あるんだな」
分かった風な口調がムカつく。
どうしてせっかくの良い天気なのに、こんな筋肉バカにイライラさせられなきゃいけないんだろうか。